2014 Fiscal Year Research-status Report
組み合わせ論的および数理計画論的高位レベル合成手法の研究
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26420323
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉村 猛 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80367177)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Highlevel Synthesis / Scheduling / Binding / Low power |
Outline of Annual Research Achievements |
高位レベル合成の最適化を目指し、スケジューリングとリソースバインディングの両面から研究を進めた。まず、電源電圧調整による低消費電力スケジューリングについて、リソースの制約と回路性能の制約を同時に考慮する問題に対して、タブサーチに基づく手法を開発した。この手法は、以前、当研究室で開発した、回路性能の制約のもとで、リソースと消費電力を最小化する手法を拡張したものである。そして、計算機実験によって、消費電力電力は最適解から平均2.6%増加するが、回路規模を従来比で24.1%削減できることを確認した。また、閾値電圧の調整による低消費電力化について、Min-cut法に基づく漏れ電力の最小化手法の開発を行った。これは、各タイミングでの各演算実行の期待値を表すモビリティを導入し、Min-cut法と組み合わせて、最適化するものである。計算機実験では、従来手法に比べ、漏れ電力を約34%削減できるという結果を得た。 次に、リソースバインディングについてはポート割り当てアルゴリズムの高性能化に関する検討を行った。一つの加算器で複数の加算を行う場合、各変数(レジスタ)に加算器のポートを割り当てる必要がある。その巧拙により、必要なHW資源に差が生じる。ポート割り当て問題は、これらを最小化するようポートを割り当てる問題である。この問題に対しては、すでに木の変換に基づく手法を開発しているが、処理の効率の点で改良の余地があった。そこで、木の代わりに行列表現を用いた場合の理論的な解析を行ない、処理効率改良の見通しを得た。更に、タブサーチ手法と組み合わせることによる、高精度の解を生成する手法の開発に取り掛かった。また、木の代わりに2部グラフを用いて解く手法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高位レベル合成におけるスケジューリング問題とバインディング問題の研究を行い、前者については、既存巣法を大幅に凌駕する結果を出すことができ、後者については、解の精度および処理の高速化のための目途を立てることができている。 具体的には、まず、高位レベル合成では、電源電圧調整による手法で、回路規模を従来の手法から約24%削減し、閾値電圧調整による手法では、従来手法に比べ、漏れ電力を約約34%削減できるという結果を得ている。 一方、バインディング問題については、すでに開発していた木の変換による手法の理論的な見直しを行い、行列に基づく手法により、解の精度と処理効率を改善することができる見通しを得ている。また、2部グラフに基づく手法の検討を行い、処理効率改善の見通しを得ている。 。
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Strategy for Future Research Activity |
高位レベル合成の最適化を目指し、スケジューリングとリソースバインディングの両面から研究を進める。まず、スケジューリング問題については、レジスタの割当と配線を考慮したスケジューリング問題の拡張とその解法の検討を行う。さらに使用可能なリソース(演算器、レジスタ等)数の制約を考慮する。この拡張問題でも、部分空間を用いたタブサーチのモデル化手法を採用し、部分解空間の評価関数、部分解空間内の最適またはそれに近い解の発見手法を検討し、プログラムの試作・評価改良を行う。 また、バインディング問題については、2部グラフを用いたポート割り当てアルゴリズムの開発と評価改良を行った後、ポート割り当て問題を拡張し、各変数へのレジスタ割当とレジスタ~マルチプレクサ間の結線を考慮した「レジスタ+ポート割り当て問題」の検討を行う。これは二つの問題を含むため、まず、レジスタ割り当て後の状態を部分解空間と考え、ポート割り当てアルゴリズムを用いて部分解空間内の最適解を発見する手法を考える。
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Causes of Carryover |
主な理由は、本年度は理論的な検討が主であったため、一部の計算機(PC)の購入を見送ったこと、国際会議の出張が予定より少なかったことである。この予算は次年度以降に、活用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度もシステムの開発を継続するが本研究で開発するシステム、特に低消費電力スケジューリング問題は、アルゴリズムが複雑で、処理時間が膨大となるため、設備関係について、高性能PCおよび大容量ハードディスクの導入を計画する。また、旅費については国際会議での発表を予定し、その他経費として学会参加費、学術論文の掲載料を考えている。
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Research Products
(3 results)