2014 Fiscal Year Research-status Report
SET耐性強化カスケード電圧スイッチ論理回路組み込み宇宙用LSIの開発研究
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26420324
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
波多野 裕 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (80238013)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CVSL / 変換アルゴリズム / SETシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙用耐放射線システムLSIの実現を目指して、26年度は主に、カスケード電圧スイッチ論理(CVSL)回路を中心に、2重ラッチ回路などの多重系冗長回路へのディジタル要素回路の変換アルゴリズムの研究を進めた。また、これらの宇宙用LSI回路への導入手法の確立と実用的SETシミュレーション技術の研究を行った。 スタティック形CVSL回路は従来のCMOS回路と比較して2桁以上SET耐性が優れていることを、研究代表者の研究室で明らかにしたが、このスタティック形CVSL回路の、ロジック回路、マイクロプロセッサ回路などの機能回路への組み込みを検討するため、これらのCVSLへの変換アルゴリズムの確立とSET耐性強化の研究を行った。 同様に、クロック形CVSL回路は従来のCMOS回路と比較して1桁以上SET耐性が優れていることを、研究代表者の研究室で明らかにしたが、このクロック形CVSL回路の、ロジック回路、マイクロプロセッサ回路などの機能回路への組み込みを検討するため、これらのCVSLへの変換アルゴリズムの確立とSET耐性強化の研究を行った。 更に、0.18ミクロンCMOSプロセスにおけるSET効果誘起光電流に起因する回路誤動作のシミュレーション技術の高精度化を検討した。限定的に適応されてきたSET効果のシミュレーション技術に関して、論理1 への誤動作、論理0 への誤動作、複数の荷電粒子による誤動作など、宇宙空間において実際に起きる種々の回路誤動作を対象に、検証できる範囲の拡大を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディジタル要素回路の変換アルゴリズムの検討のため、0.18ミクロンCMOSプロセスを用いて、基本論理ゲート群を、スタティック形CVSL回路とクロック形CVSL回路 により、設計試作した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度までに検討したSETシミュレーション技術を、CVSL回路、マイクロプロセッサ回路、メモリ回路、ロジック回路などに適用してその有効性を検証する。更に、組み合わせ論理回路、インバータ・チェーン回路、基本順序論理回路などへのSET効果をシミュレーションに基づいて検討して、これらの基本論理回路から構成される宇宙用LSIのSET耐性強化について、1)シングル・イベント・パルスの伝搬に伴うパルス幅拡大過程観測、2)SETパルスのウェル・コンタクト面積依存性、3)SETパルスのウェル・コンタクト距離依存性、4)トランジスタ寸法の最適化、などを通して明らかにする。
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Causes of Carryover |
26年度に設計したCMOSチップの試作費、約56万円分が27年度に発生するためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分約46万円と27年度予算約10万円を、26年度設計CMOS試作費約56万円に充当する予定である。
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