同軸型ＰＯＦを用いた光回転コネクタ構成法およびその応用に関する研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26420325
• Research Institution: Chubu University
• Principal Investigator: 川島 信 中部大学, 工学部, 教授 (80340199)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 回転リンクコネクタ / プラスチック光ファイバ / 無線電力伝送方式 / スリップリング / 監視カメラ

Outline of Annual Research Achievements

【研究成果の具体的内容】光回転コネクタの主要研究課題は(i)同軸型POFによる光デジタル双方向リンク構成法並びに、(ii)電力伝送系構成法である。これまでの研究により、(i)項については基本的なフィージビリティ検討を完了しており、平成２６年度は(ii)項について基礎検討を進めた。これまでに、導電性グリース、導電性布材料等の適用について検討を進め、回転体間における電力伝送が可能であることは立証してきた。しかし、これらの技術は基本的にオーミックコンタクトをベースとしている為、発熱や雑音の発生を回避することが困難であり、信頼性にも問題が生じることが判明した。平成２６年度の研究では、新たに無線電力伝送方式の導入を試みた。具体的には、回転軸を形成する金属体に磁性体を用い、これをコアとして同軸型トランスを形成し、１次巻線固定/２次巻線回転体側と言う構成により電力伝送を行う構造を提案した。提案に基づき外径10mmφ、長さ40mmの伝送系を構築し、基本実験を進めた結果、5W程度の電力伝送が可能であることが判明した。光回転リンクコネクタを監視カメラに応用する場合を想定すると、HVカメラの消費電力は3W程であることから、充分とは言えないまでも、実用上十分使用可能であることを立証した。
【成果の意義・重要性】上記の成果は電力伝送特性上のみならず実装上も大変有利な方式となる可能性が示せたということで、大きな意義が有ると言える。また、回転体間の電力伝送の有力候補として無線電力伝送が有効であり、その最適設計法が確立可能となれば、その意義は大変大きいと考えられる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

概要の項に記述した如く、光デジタル双方向リンクの構成法、特性については申請以降の研究において大きな進展があり、同技術を発展させることにより、２Gb/sの伝送は可能となろうとの感触を持っている。課題は電力伝送法であり、導電性グリース或いは導電性布材料による模索を続行したが、並行的に進めた無線電力伝送方式が優れた特性を示したことから、後者の技術に注力して最終解を得ることと判断した。
回転体間における電力伝送に対して無線電力伝送方式を適用した結果は、必要十分と言う状況には至っていないが、今後の研究により大幅な特性向上が望めることから、今後は当初計画を見直して、無線電力伝送をクローズドな回転体間に適用する方式の確立を目指すこととする。現時点で、５W程の電力伝送が可能となっており、工業用ハイビジョンカメラの電力供給量としては充分な特性を実現している。光デジタルリンク系の伝送特性並びに電力伝送特性について新たな方式の提案なども含め、実用的な特性領域にまで達しているということで、本研究は概ね当初の計画通り、順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

上記各項に記述した通り、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
今後、無線電力伝送方式の送電電力量を30W程度にまで引き上げる技術、光デジタルリンク系との結合を図った回転リンクコネクタ試作へと研究を発展させていく予定である。
本研究については、研究推進の過程において、それまで極めて困難と想定されてきた２つの技術課題を克服する新たな提案を行い、これにより「光回転リンクコネクタ」を現実的な物とさせることができたと考えている。今後も、こうした優れたアイデアの創出を重要視して研究を推進し、最終的に超小型回転リンクコネクタを実現して、ロボットの関節、新たな機能システムの回転機構、関節機構等への知能リンク・電力伝送リンクの形成に広く適用されることを理想として研究を推進したい。

Causes of Carryover

当初計画に基づき、３Ｄプリンターを購入したが、当該年度初めの装置価格から安価となって、残余差額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

基板作成機の故障により、平成27年度に後継機の購入を余儀なくされており、同工作機械の購入に充てることとしたい。