2015 Fiscal Year Research-status Report
少数のパイロット信号を用いる時変スパース通信路推定法の開発
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26420337
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 教授 (00261743)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 通信路推定 / スパース通信路 / 時変通信路 / OFDM / OFDMA / ブラインド推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,少数のパイロット信号を用いて時変スパース通信路を推定する手法を開発し,その移動無線通信への応用を検討することで,将来の超高速ビットレート無線移動通信のための通信路推定法の基盤確立を目的としている.平成27年度は,(1)OFDMAにおける時不変スパース通信路のセミブラインド推定法,(2)OFDMにおける時変スパース通信路のパイロット信号を用いる推定法の二点について検討した. (1)について,OFDMの原理に基づく多元接続方式である直交周波数分割多元接続(OFDMA)のアップリンクにおける通信路推定を検討した.まずOFDMAのためのブラインド通信路推定法を提案した.これは従来のOFDMのための決定論的な推定法をOFDMAに拡張したもので,極めて少数の受信ブロックのみで良好な推定結果が得られることをシミュレーションにより示した.このブラインド推定法とパイロット信号を組み合わせたセミブラインド推定法を提案し,極めて少数のパイロットにより性能が改善することを示した.さらに,L1最適化をこれらに組み合わせたスパース通信路のための(セミ)ブラインド推定法を提案した.特に,評価量とL1ノルムのバランスを調整する正則化パラメータを三分探索に基づいて自動的に決定する方法を提案した.提案セミブラインド推定法は,通信路次数推定誤差とユーザ当たりのサブキャリヤ数に影響を受けにくく,また通信路インパルス応答の非ゼロタップ数にも影響を受けにくいことを示した. (2)について,OFDMにおける時変スパース通信路を基底展開モデルによりモデル化した場合の性能評価を行った.ブロックスパースモデルにより時変通信路がモデル化できることを以前に我々は示しているが,今回は,ブロックを考慮しない場合との比較を行い,ブロックスパース通信路としてモデル化することで性能が向上することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,「研究の概要」で述べた研究目的を達成するために,時変スパース通信路のセミブライド推定法を検討するが,平成26年度に引き続き,平成27年度は時不変スパース通信路のセミブラインド推定を主に検討した.スパース通信路のセミブライド推定の性能評価を慎重に行い,その結果をフルペーパーとしてまとめるために時間を要した. 現在は,平成27年度の成果を発展させて,時変通信路のブラインド及びセミブラインド推定を導出を検討している.また同様にMIMO-OFDMにおけるセミブラインド推定についても検討中である.今後は,これまでの成果を発展させた形で未検討項目の検討を進めることで,所期の目的が達成可能と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果を発展させた形で以下の未検討項目の検討を進める.なお以下における性能評価は購入機器を用いたシミュレーションにより行う. (1)時変スパース通信路のブラインド推定法とセミブラインド推定法の開発と性能評価 (2)MIMO-OFDMのためのスパース通信路推定法の開発と性能評価 (3)通信路のスパース性を利用した受信機の簡易化 全期間を通じて,研究会等に積極的に参加し情報収集を行うとともに,上記の検討により得られた成果を国内外の学会で発表する.
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Causes of Carryover |
海外開催の国際会議に参加しなかったため.英文校閲は自身で行ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度未使用分については,コンピュータシミュレーションの高速化を図るためにPC増設及び数値計算ソフトウェアライセンス購入に充てる.
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