2014 Fiscal Year Research-status Report
ユビキタス情報技術における新しいエネルギー源の開発とその応用
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26420339
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安 昌俊 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90453208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / レクテナ / ビームフォーミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マイクロ波無線電力伝送技術に注目し、ユビキタス情報機器の新しいエネルギー源として実現させる事を目的とし、無線電力伝送技術の高効率・高性能化とその応用を目指した研究開発である。まず、無線電力伝送システムでは、エネルギーをマイクロ波に乗せて送りだすと距離に比例してマイクロ波が広範囲に広がるため、受信側では大電力を受信することが困難となる。そこで、送信マイクロ波に指向性をもたせるビームフォーミング技術による大電力化送信を行った。ビームフォーミングを形成するためには、送信マイクロ波の位相を変えると移相器の出力が急激に劣化するため、出力の劣化を最小限にしながら指向性を増大できる実装装置を開発し、実験を行ってその有効性を示した。更に、成層圏等での高高度通信システムから地上への情報伝送は無指向性アンテナを用いて通信を行うため、地上から気球へ指向性をもたせて送りだすエネルギーは通信システムの強力な干渉となり、通信品質に影響を及ばすため、強力な干渉下での通信品質の劣化を防ぐ最適な信号生成法と干渉波による回り込み波の低減法として、可視光通信による信号伝送を検討し、その有効性も示した。また、無線通信システムにおいて、情報を伝達するためには、送信信号の振幅や位相を変化させて送信を行うため、変調信号の振幅や位相が時間変動するとその信号の包絡線も変動し、発電量も時間変動するため、安定的な発電とその利用にも制限が生じる。次年度は、ビームフォーミング技術のみならず、増幅器の非線形問題でも応用される振幅の変動が少ないオフセットQPSKとpi/4 QPSK等の様々な変調方式を検討し、最適な変調方式とその発電量を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビームフォーミング技術による大電力化送信に関しては概ね良い成果を得られており、次年度の大電力化に最適な変調方式の検討結果を踏まえ、さらに高性能化が期待される。一方、予定していた2.4GHzの送信機の試作は、円安などの影響による価額が高騰したため当初計画の金額では実験装置の構築が困難であるため、既存の部品などを利用可能な理由から5.8GHzで構築し、研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討結果を参考に、送信電力を大きくし送信可能な距離を10m以内で実装試験を行う。特に伝送距離に比例し受信可能なエネルギーが少なくなるため、16分配型レクテナの性能評価と変換効率等の測定結果を踏まえ、大電力化伝送時の問題点を明らかにし、試作装置の改良を行う。また、増幅器の非線形問題でも応用される振幅の変動が少ないオフセットQPSKとpi/4 QPSK等の変調方式を検討し、最適な変調方式とその発電量を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度、購入を予定したホンアンテナが円安などの影響により価額が高騰し、当初計画の金額では2.4GHzの周波数で実験装置を構築するのが困難であったため、既存の部品などを利用可能な理由から5.8GHzで構築を行った。そのため、本年度のホンアンテナ購入費用の一部を繰越し、次年度の5.8GHzの実験装置の構築に利用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品購入は様々な変調に対する電力伝送効率を測るために必要な組み込み装置や電子回路部品と言った少額なものばかりである。また、予算の一部は学会等での成果の発表にも利用する予定である。
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