2014 Fiscal Year Research-status Report
アンライセンスバンドの高度活用を目指した協調型プライベート無線ネットワーク
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26420357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 伸一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50252614)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンライセンスバンド / 無線ネットワーク / 周波数共用 / 集中管理 / リソースマネジメント / 媒体アクセス制御プロトコル / 重複セル / 協調ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
アンライセンスバンドでは,無線LANやZigBeeなど様々な規格に準拠したプライベート無線ネットワークが自律的に周波数資源を共用する.このため,プライベート無線ネットワークの伝送特性の向上を図るためには,アンライセンスバンドの周波数資源の有効活用が必須である. 本研究課題では,アンライセンスバンドの高度利活用を目的として,アンライセンスバンドを共用する端末群がグループを形成し,グループとして獲得した無線リソースを個々の端末のQoS (Quality of Service)要求に応じて適切な端末に割り当てる協調型プライベート無線ネットワークの構築を目指している. 初年度である平成26年度は,単一のAP(アクセスポイント)とその配下にある端末群が協調して無線リソースを利用する『同一規格・単一ネットワーク内協調』を対象として, (課題1) グループ形成プロトコルの構築,(課題2) 媒体予約プロトコルの構築,(課題3) リソースマネジメントに必要となる情報集約プロトコルの構築,(課題4)リソース割当アルゴリズムの開発を行った.また,(課題1)~(課題4)で考案したプロトコルおよびアルゴリズムを実装したプライベート無線ネットワークを計算機上で構築し,その有効性を検証した. その結果,本研究課題で開発した協調型プライベート無線ネットワークは,APと端末との間の1対1通信を基本とする既存のプライベート無線ネットワークと比較して,媒体予約およびリソースマネジメントに必要な情報集約に要する時間(シグナリング・オーバヘッド)が増大するものの,リソース獲得の競合やフレーム衝突を伴わない情報伝送が可能となるため,スループット特性および伝送遅延特性が向上し,アンライセンスバンドの無線リソースの有効活用を図る手法として有効な手法であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の初年度として,研究計画書に掲げた5つの研究課題,すなわち,単一のAP(アクセスポイント)とその配下にある端末群が協調して無線リソースを利用する『同一規格・単一ネットワーク内協調』を対象とした, (課題1) グループ形成プロトコルの構築,(課題2) 媒体予約プロトコルの構築,(課題3) リソースマネジメントに必要となる情報集約プロトコルの構築,(課題4)リソース割当アルゴリズムの開発,(課題5) 考案したプロトコルおよびアルゴリズムを実装したプライベート無線ネットワークを計算機上で構築し,その有効性の検証,を全て実施することができた.また,国際会議での招待講演を始め,当初想定していた以上の研究成果の外部発表を行うこともできた.次年度において対象とする『同一規格・複数ネットワーク間協調である複数の無線LAN間の協調』の研究開発の方向性および克服すべき課題も明確である.これらの事由により,本研究課題の「目的の達成度」は『おおむね順調に進展している』と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では,本研究課題の中核理念である『集中管理型協調プライベート無線ネットワーク』を,最も基本となるネットワーク形態に適用して検討した.来年度以降は,『同一規格・複数ネットワーク間協調』,『異種規格・複数ネットワーク間協調』を対象とした検討に発展させるが,コアとなる要素技術は今年度の検討事項(課題1)~(課題5)と同じである.しかし,来年度年度以降の検討では,複数のプライベート無線ネットワーク間の協調を対象とするため,(1) グループの管理主体(AP)の決定方法の確立,(2) グループの管理主体(AP)のカバレッジ外に存在する端末の管理方法の確立, (3) 偏在する端末を介した異種無線ネットワークの端末をサポートする伝送プロトコルの確立など,新たに克服すべき課題がある.来年度はこれらの課題を克服する,媒体アクセス制御プロトコルおよびリソースマネジメントアルゴリズムの開発に尽力する予定である.
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Causes of Carryover |
研究計画書提出後,次年度より,研究代表者が所属研究機関を異動することが決定した.研究計画書提出時には,研究代表者および研究協力者が所属する研究室(大阪大学)において実施することを想定していた.しかし,次年度以降の研究課題を遂行する異動先での計算機・実験設備環境を調査したところ,十分な研究環境が整っておらず,サーバおよびPCの設置スペースを含め,研究課題遂行に必要となる計算機・実験設備環境を構築する必要が生じることが判明した.そのため,今年度は本研究課題の遂行に必要最小限の計算機・実験設備の購入に留め,今年度未使用額と次年度助成金を併せて,異動先においても滞りなく研究課題を遂行するための計算機・実験設備の購入,および,資料収集・成果発表の旅費に充てることとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異動先の研究機関においても滞りなく研究課題を遂行するため,今年度未使用額および次年度助成金を併せて計算機・実験設備の購入を計画している.具体的には,(1) プロトコルおよびアルゴリズム開発用PC,(2) 計算機シミュレーション用サーバ,(3) プロトコルおよびアルゴリズム開発用ソフトウェア,(4) PCおよびサーバ関連消耗品(ネットワークおよび周辺機器接続,セキュリティ・システム管理ソフト,外部記憶メディア等)の購入を計画している. また,概ね順調に研究成果を挙げられていることから,当初計画通りの資料収集旅費に加えて,成果発表旅費の増額を計画している.
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