2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420359
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松永 真由美 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (30325360)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アンテナ / 高効率 / 小型 / 平面 / 偏波共用 / 周波数共用 |
Outline of Annual Research Achievements |
使用周波数の10分の1波長以下のサイズでありながら、半波長サイズ程度のアンテナと同等の特性を有する高効率超小型アンテナの開発を行っている。携帯電や無線LAN, GPSなどの多数の無線通信システムの周波数帯で同時に円偏波や直線偏波を放射するアンテナを、性能を維持しながら小型化する事で、無線通信技術の高度化を目指している。 平成26年度は、研究代表者が発明したクロス形状のループアンテナ(CSA)の小型化と効率向上を通して、高効率小型アンテナの開発に取り組んだ。具体的には、まず、電磁界解析と、オシロスコープのリアルタイムスペクトラム機能を用いた測定に基づき物理的考察を詳細に行った。本考察より、CSAのインピーダンス調整に有効なエレメントとその形状、CSAの不平衡-平衡変換に有効なエレメントとその構造のそれぞれ特定および構成法を提案した。次に、これらの構成法を用いて、インピーダンス調整形状をCSA自体に取り入れてCSAを小型化し、また、更に、不平衡-平衡変換に有効な構造をCSAに組み込む事で、同軸ケーブルで直接給電しても高効率に給電ができる構造とした。最後に、共用ができる各周波数における放射効率改善に有効な構造の検討を行った。その結果、共用できる最も低い周波数帯の10分の1波長のサイズで、2つの携帯電話周波数帯と、GPS帯でそれぞれ直線と円偏波を送受信できるアンテナの開発に成功した。また、放射効率を80%以上へと向上させる事にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、当初計画通り目標を達成し、今後の検討に有効な検討結果が得られていることから、当初計画以上に進展していると区分した。 平成26年度の当初目標は、研究代表者が発明したクロス形状ループアンテナ(CSA)のインピーダンス調整および平衡-不平衡変換に有効な構造について物理的な考察と実験的な検討を行うことで解明し、小型化、高効率化に有効な構造を見いだす事にあった。これらを明確に見いだす事に成功し、実際に、半波長程度のアンテナとほぼ同等のS11特性、偏波特性、放射特性を有する波長の10分の1程度のアンテナの構成に成功している。これらの事より、当初計画通りに目標を達成しているとした。 更に、三周波で円偏波及び直線偏波が共用出来るアンテナも特性はそのままに、小型化、高効率化を達成することができている。またインピーダンス調整に用いた素子が放射特性の劣化を引き起こしている可能性を見いだし、放射特性を劣化させずインピーダンス調整が可能な装加素子の検討および、この素子を用いてアンテナ近傍に反射板を配置する構成についても検討が進んでいる。これらの事より、当初の計画以上に進展しているとした。 開発したアンテナは、試作を行い、実験的にも、半端長程度の従来のCSAと同等の性能が得られている事を確認している。また、平衡-不平衡変換も十分に成されていることを実験的に確認し、同軸ケーブルにより直接高効率に給電できるアンテナであることも確認済である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度実施した詳細な解析・分析結果を基に、クロス形状のループアンテナ(CSA)の更なる小型化、高効率化、そして、近接金属の影響の軽減に取り組む。 平成27年度は、まず、インピーダンス調整に有効な構造として採用した、L字装加素子やメアンダ-構造の見直しを通じて、更なる高効率化と小型化を目指す。L字装加素子やメアンダ-構造は、インピーダンス調整を通じた小型化に有効な素子として平成26年度に取り入れた。しかし、これまでの検討で、素子間の間隔や誘電体材料特性によっては、放射効率の劣化につながることが分かってきた。そこで、素子間の間隔をインピーダンス的にはさほど影響を与えない範囲で、放射効率を向上させる構成へと改善し、また更に、アンテナエレメントを構成する誘電体材料を放射効率に影響を与えにくいものへと選定し直す。 次に、アンテナ裏面近傍に金属板を配置できる構造へと発展させ、裏面への放射抑制、アンテナ利得の向上および近接金属の影響低減を行う。ループアンテナは、そもそも、裏面へも放射し、円偏波の場合は、表面と裏面とでは反対の旋回方向の円偏波が放射される。従って、アンテナ裏面に単純に金属板を配置しても、裏面方向に放射される反対方向の円偏波が干渉し、金属板の配置間隔によっては表面への円偏波特性が劣化してしまう問題がある。そこで、円偏波特性が劣化せず、表面へのアンテナ利得が向上する金属板の配置方法を提案する。また更に、小型化の観点から、数ミリ程度の近傍に金属板を配置できる構成を提案する。
|