2014 Fiscal Year Research-status Report
ユーザの視聴行動を考慮したP2P映像配信トラヒックの分析と制御への応用
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26420370
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
三好 匠 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (40318861)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / ネットワーク / インターネット高速化 / ピア・ツー・ピア / トラヒック分析 / 国際研究者交流(フランス) |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,当初予定の研究課題1「P2PTVに対するユーザ視聴行動の特徴抽出と分析」を実施するとともに,研究課題2(1)「ユーザ行動パターンを考慮したP2PTVトラヒック特性分析」と研究課題2(2)「アプリケーション開始時やチャネル切替時などに発生する過渡的トラヒックの分析」を開始した. まず,研究課題1では,インターネットで動画視聴を楽しむユーザ141人を対象として,1日のうち映像配信サービスをいつ利用するかというマクロ視点の行動パターンをアンケートを用いて抽出した.その結果,1週間の平均視聴時間は11.9時間で,平日,休日ともに21時から深夜1時の夜間~深夜帯に視聴が集中していることが分かった.また,休日には朝から昼にかけての視聴者率が2~5倍にまで増加することが明らかとなった. 次に,研究課題2では,ノートPCにP2PTVアプリケーションの一つであるPPStreamとパケット解析アプリケーションWiresharkをインストールし,これを自宅に持ち帰って自由に視聴を行ったときのユーザのミクロ視点の行動パターンを調査した.測定PCでは,ユーザのマウス遷移を追跡して画面の保存を行うことが可能である.15人による評価の結果,視聴時間の累積確率分布が指数分布となること,視聴時間の上限値がコンテンツ長に依存することを発見した.また,1時間あたりの視聴回数の累積確率分布がポアソン分布に一致することも確認した.更に,ユーザはチャネル切替だけでなく,シークバーの移動も頻繁に行うことが確認された.シークバー移動とチャネル切替を新規接続の開始とみなした場合の視聴時間の累積確率分布は,対数分布に非常に類似していることも確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に記載のとおり,当初の研究計画に従って研究課題(1)を実施するとともに,研究課題2(1),研究課題2(2)を開始した.研究課題1では,アンケートに基づいて,ユーザの映像配信サービスの利用状況を把握することができた.研究課題2(1),2(2)については,統計的分析に基づいて,ユーザ行動パターンを考慮したトラヒック特性分析を行い,一定の成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り,研究課題2(1)と研究課題2(2)について研究を継続する予定である.平成27年度は,フローレベル,及びパケットレベルでのトラヒック分析を継続するとともに,複数のP2PTVアプリケーションにより発生するトラヒックの分析について調査を行う予定である.それと同時に,研究課題3「自律的P2Pトラヒック制御システムへの適用と柔軟で効率的なトラヒック制御手法の考案」を開始する予定である.研究課題3では,本研究で得たトラヒック分析結果を,以前の科研費研究で構築した自律的P2Pトラヒック制御システムに応用することを目的としている.平成27年度は,当該システムの全体設計について検討する予定である.
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Causes of Carryover |
当初,共同研究者であるフランス・パリ第6大学Olivier Fourmaux准教授との研究打合せを平成26年度内に実施する予定であったが,双方の予定が合わなかったため,平成27年度始めに実施することに変更した.そのため,旅費支出分が未使用となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フランス・パリ第6大学Olivier Fourmaux准教授との研究打合せと,トラヒック計測実験を平成27年6月に実施する予定である.未使用となった分については,平成27年度に執行予定である.
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