2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420380
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒川 元孝 東北大学, 医工学研究科, 特任助教 (00333865)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計測工学 / 超精密計測 / 超音波計測 / 強化ガラス / 表面応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
薄型、高信頼な強化ガラスが要求される中、高精度かつ信頼性の高い評価技術が要求されている。本研究代表者らは、物質・材料の音響特性を非破壊・非接触的に定量計測する「超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)」技術の基礎研究および材料評価への応用に関する研究を進めている。 本研究では、強化ガラスの評価パラメータである表面応力や応力層深さとUMS技術より測定される音響特性との間の関係を求める。これによって、強化ガラスの新しい評価技術としてUMS技術を用いた方法を確立することを目的する。さらに、表面応力により、強化層の弾性率がどのように変わるのかを明らかにし、計測モデルを構築する。 本年度の成果は以下のとおりである。 化学強化処理時間の異なる化学強化ガラス基板を用意し、直線集束ビーム超音波材料解析システムにより、漏洩弾性表面波(LSAW)速度および漏洩擬似縦波(LSSCW)速度を測定した。また、光学法により表面応力と応力層深さの測定を行った。これらの結果を比較することにより、表面応力や応力層深さの変化に伴ってLSAW速度やLSSCW速度が変化していることを明らかにした。応力層深さに対する分解能を求めたところ、LSAW速度が0.11 μmと非常に高い分解能を有していることを明らかにした。また、物理強化ガラス基板に対しても同様に、LSAW速度やLSSCW 速度の測定を行い、表面応力に対して、1 MPa以内の分解能を有していることを明らかにした。また、LSAW速度の周波数依存性を測定することにより、圧縮応力層内の弾性率分布に起因した分散性を捉えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、化学強化ガラスと物理強化ガラスに対して、LFB-UMCシステムを適用するとともに、光学法により得られた値と比較することにより、LSAW速度が表面応力や応力層深さに対して高い分解能を有していることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続するとともに、以下の検討をおこなう。 1.応力緩和の影響の検討 応力緩和によって、時間が経つにつれて強化ガラスの表面強度が低下することが報告されている。熱処理による加速劣化試験を行った前後での表面強度と音響特性の間の関係を調べることにより、その評価方法を検討する。 2.計測モデルの構築 一般に、物理強化ガラスは強化層が厚く(板厚の1/6)、表面応力が小さい(100~150 MPa)。化学強化ガラスは、強化層が薄く(10-300 μm)、表面応力が大きい(300-800 MPa)。超音波の波長(225 MHzにおいて、LSAWで約13 μm、LSSCWで約25 μm程度)を考慮して、計測モデルを構築する。未強化試料および強化試料に対して、基板表面に対して平行に伝搬するLSAWおよびLSSCWの速度、基板表面に対して垂直に伝搬する縦波と横波の音速、および密度の結果をもとに、強化層の弾性定数、密度を見積もる。表面波とバルク波の特性の違いから、強化層の弾性率の異方性を導出する。
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