2014 Fiscal Year Research-status Report
帯電水滴スプレーを用いたプラスチック材料表面の「ぬれ性」評価法の開発
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26420381
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉本 俊之 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10282237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ぬれ性 / 接触角 / インライン測定 / 表面電位 / 局部除電 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ等により表面改質を施したプラスチック材料表面のぬれ性をインラインで評価できるシステムを開発するため、その基礎実験として帯電水滴スプレー、表面電位計、局部除電装置からなる測定装置を試作し、その評価を行った。直径1㎜の噴出口を持つ2流体ノズルとリング電極を用いた帯電スプレー装置は、水道水の噴出流量と空気の瞬出圧力によってスプレー状態を制御することができ、直径40㎜程度の水滴スプレーを噴出するように調節した。リング電極は、ノズル出口が中心にくるように設置し、印加電圧を調整することでスプレーの帯電量を調節できる。局部除電装置は、針対グリッド電極を用いて試作し、グリッド電極の直下から約20㎜の範囲まで除電できることを確認した。帯電スプレー外周部に局部除電装置を設置し、スプレーの中央部における表面電位を表面電位計で測定した。試料のぬれ性が高ければ、スプレーにより水膜が形成されるため、その導電性の経路で電荷が移動できるため、外周部を除電すれば中央部での電位も大きく低下する。一方、試料のぬれ性が低ければ、スプレーにより水膜が形成されず、導電性の経路が形成されないため、スプレーの外周部を除電しても中央部には電荷が残ることになる。これにより、試料表面の接触角と電位の残留の度合いとの間に相関関係が見出されることを期待した。 シリコーンゴムをコロナ放電で表面改質した試料を用い、放電時間によって改質の度合いを調整した。この試料を用いて接触角と電位の残留度合いとの間の相関関係を調べたところ、接触角0度では電位残留度が0、接触角80度では電位残留度が2.5となり、ある程度の相関関係が見られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
帯電スプレーと局部除電によるぬれ性の評価法による基礎実験から、接触角が小さくなる、即ち、濡れ性が高くなるほど、スプレー中央部の電位が低下する結果が得られ、この原理を用いれば、試料が高いぬれ性を有しているかどうかの判定が可能であることが確認できた。また、針対グリッド電極で構成される除電装置が、グリッド電極直下の限られた領域のみを除電することができ、本方式のような測定に適していることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
帯電スプレーを用いる方法である程度の目途がついたが、スプレーを試料の表面に吹き付ける必要があるため、水のスプレーに含まれる成分が乾燥後も表面に残ってしまう可能性がある。また、一旦試料を濡らしてしまうため、これを乾かすのにエネルギーを必要とする。したがって、スプレーを供給しなくても測定できる方法があれば、よりクリーンで環境負荷の小さい測定が可能となる。また、帯電スプレーを用いるときよりも高速な測定が可能になると考えられる。 大気中には、常に幾分かの水蒸気が存在し、試料の表面にも幾分かの水蒸気が付着しているので、大気中の水分による試料の表面抵抗の変化からぬれ性を評価する方法を模索したい。帯電スプレー装置の代わりにグリッド式のコロナ帯電装置を設置し、試料のぬれ性を変化させたときの表面電位を測定する方法について検討したい。
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Causes of Carryover |
端数が余ってしまい、この金額で特に研究に必要な物品の購入は不要と考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と合わせ、必要な物品に対して計画的に購入していきたい。
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