2015 Fiscal Year Research-status Report
帯電水滴スプレーを用いたプラスチック材料表面の「ぬれ性」評価法の開発
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26420381
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉本 俊之 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10282237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ぬれ性 / 表面抵抗 / コロナ帯電 / 湿度 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスチック材料の濡れ性を非接触で評価する手法の開発を目的とし、コロナ帯電しながら表面電位を測定する装置を試作し、表面電位の時間変化を測定した。当初は、帯電した水滴スプレーを供給する装置を構想していたが、水滴スプレーでは測定後の乾燥が必要なことや、水滴に含まれる不純物が試料の表面に残るなどの問題が生じ、水滴を使わない手法を模索した。グリッド電極を用いたコロナ帯電法を用いると、帯電部の表面電位が安定し、水滴を用いなくても、試料の表面に付着する大気中の水分によって表面抵抗率が変化し、表面電位に変化が現れることが明らかになった。帯電時にグリッドに印加した電圧と、測定された表面電位の比を規格化電位とすると、規格化電位が1に近いほど表面が導電性を示す指標になる。シリコーンゴム板とポリエチレン板を試料として使用し、購入したプラズマ改質装置で試料の濡れ性を変化させたとき、濡れ性が向上するほど、すなわち、接触角が小さくなるほど、規格化電位が1に近くなる傾向が明らかになった。接触角が20度以下では、規格化電位が1に飽和した。また、同じ接触角を持つサンプルでも、測定環境の湿度によって規格化電位は大きく変化した。これは、湿度が高いほど、試料の表面に付着する水分が多くなり、導電性が高くなるためと考えられる。これらの結果から、予め測定したいサンプルにおいて接触角と湿度および規格化電位の測定を行って較正しておけば、測定された規格化電位の値から接触角の大きさをある程度推定できることが示唆された。なお、測定に必要な時間は10秒程度であり、実用上十分短い時間で測定できることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
帯電した水滴スプレーを使わなくても、ぬれ性の推定に見込みがたったため。被測定物を汚さずに測定することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、水滴スプレーを使わない方法について検討を進める。ぬれ性が高い材料は、大気中の水分を付着しやすいという実験結果が得られたが、さらにサンプルの種類を増やして確認する必要がある。
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Causes of Carryover |
情報収集のために予定していた出張の都合がつかず、取りやめたため、その分の残が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた出張を次年度の計画に加え、次年度分として請求した助成金と合わせて計画的に使用する。
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Research Products
(2 results)