2014 Fiscal Year Research-status Report
巨大橋梁など大型構造物の外観検査を可能とする電磁アクチュエータ群の開発
Project/Area Number |
26420393
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 博之 東北学院大学, 工学部, 教授 (70192383)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
交通量の大幅な増加に伴い,鋼橋の疲労が問題となっている.特に近年は,斜張橋や吊り橋などの巨大な橋梁に存在する亀裂や応力の状態を定期的に検査することが義務付けられている.このような巨大橋梁において,特に計測が困難な主塔を,自在に走行可能な電磁アクチュエータ群を開発し,新たな計測システムを構築することを目的としている.日本で最大級の主塔は,高さが226 m(多々良大橋:全長860 m)であり,発熱などを考慮して電磁石およびSMAワイヤーに流す電流を0.2 Aに,ショートなどによる不測の事態を考慮して入力電圧を50 V以内に制限すると,250 m走行に対処させるには,トータルで約6 Nの牽引力が要求される.平成26年度は『アクチュエータの推進特性の向上と寸法の最適化』について特化して研究を行った.申請書記載の,推進部の磁気発生力を3N(2.5倍)に増加させるために,主に実機試験による磁場解析を行い,アクチュエータの推進源となる電磁石と永久磁石により構成される磁気回路の改良をはかった.また,エネルギー法を用いて振動解析を行い,振動体の傾き角度についての理論的な解析を行い,得られた結果を実機試験により検証して走行原理を完全に確立させた.これより電磁石に0.2Aの入力電力を加わえた場合,アクチュエータは2.2Nの牽引力を発生することを明らかにした.磁気回路の変更により,従来のアクチュエータに比べ約1.83倍,推進力が増加することを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画目標である『アクチュエータの推進特性の向上と寸法の最適化』 の中で,電磁石に流す電流を0.2 Aに制限した場合の推進力を,申請書で提示した牽引特性に比べ約2.5倍程度(3 N)まで向上させる必要があることを目的としたが,アクチュエータ単体で,目標値の約75%の牽引特性(2.2N)にとどまったことによる.
|
Strategy for Future Research Activity |
牽引力の不足分は,平成27年度以降のアクチュエータの群化により対応する. また,本年度は 『段差走行への対処』をメインテーマとして研究に取り組む.申請書に示したように,巨大橋梁では,主塔内や主塔とケーブルを結合する継手部分に,約10 mm程度の段差が存在することが多いため,電磁アクチュエータ支持部の前後にそれぞれ2個の電磁石を配置する.これより平面内走行および継手構造部(10 mm程度の段差)乗越え走行時には,配置された2個の電磁石へ流す入力電流を制御することで,スムースに段差走行を可能な移動原理を確立する. 更に,重要課題の一つである『往復化走行への対処』に対応するため,2本の形状記憶合金(SMA)ワイヤーを支持部に取付け,SMAワイヤーに電流を流して収縮させることで保持部を傾けて振動体の角度を変化させる設計手法の確立をはかる.
|
Causes of Carryover |
前年度は,アクチュエータ推進部と設計と移動原理を確立するための実機試験をメインで行ったため,1部の備品しか購入しなかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
更に効率を向上させるために数値シミュレーションと磁場解析を行う予定である.このため,研究に必要な装置を購入することによる.これらの購入品は,ほぼ申請書通りであることを付記する.
|
Research Products
(3 results)