2015 Fiscal Year Research-status Report
巨大橋梁など大型構造物の外観検査を可能とする電磁アクチュエータ群の開発
Project/Area Number |
26420393
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 博之 東北学院大学, 工学部, 教授 (70192383)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 往復移動 / 段差走行 |
Outline of Annual Research Achievements |
橋梁の主塔やケーブル接合部を検査するためには,アクチュエータを往復移動が可能な構造に改良しなければならない.本アクチュエータは,振動体を傾けた方向に走行する特徴を有するため,移動方向の転換には,フレーム上に取り付けられた振動体を傾ける必要がある.アクチュエータの保持部をユニバーサル型で回転可能な構造とし,2本のSMAワイヤーを取付け,ワイヤーに電流を流して収縮させ,振動体の角度を60度に変化させた. SMAワイヤーへの電流を停止した後は,永久磁石と鉄の吸引力により振動体が,常に一定の傾き角度で保持されるように設計し,余分な電力を供給しないような解決法をはかった.本アクチュエータでは,安定して往復移動が可能であることを明らかにした.ただし,走行効率は,一方向移動型の最大36 %から,13.7 %まで減少した.これらの欠点を解消するために,2つの振動モデルを直交配置したアクチュエータシステムを新たに試作し,その往復移動についての検討を行った.直交配置したモデルの最大効率は20.5 %を示し,走行効率については改善がはかられた.また,巨大橋梁では,主塔内や主塔とケーブルを結合する継手部分に,約10 mm程度の段差が存在することが多いため,検査時においてアクチュエータは,段差を乗越えて走行しなければならない.アクチュエータ本体支持部の吸引力を状況に応じて変化させるために,電磁アクチュエータ支持部の前後にそれぞれ2個の電磁石を配置し,鋼製構造物と磁路を形成させる方法で保持部を作製したが,電磁石による発生吸引力が弱いため段差走行には対処できなかった.ただし,アクチュエータ単体において,本体取り付け部をなめらかな形状に作製することで,高さ3mmの段差を走行できることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は,CCDカメラを搭載した電磁アクチュエータ群により,巨大な橋梁中において特に検査が困難である主塔およびケーブル接合部分を,目視にて検査可能なシステムを構築することである.研究開始後2年間において,アクチュエータの動作原理と往復化走行への対処については,ほぼ確立できたと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本アクチュエータは,円筒形や曲面形の磁性体上を自在に移動可能ではあるが,主塔の形状が円筒形でかつ直径が細くなると,アクチュエータの支持部は構造物と面接触ではなく線接触となり,走行安定性が低下することが予想されるため,構造物の円筒半径が変化しても常に安定した走行の実現する.また,前年度において対処不能となった段差走行についての対策を施す必要がある.
|
Research Products
(5 results)