2015 Fiscal Year Research-status Report
自己結合信号の統計的処理によるリアルタイム信号処理装置の開発
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26420397
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
津田 紀生 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20278229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 敬史郎 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00550146)
山田 諄 愛知工業大学, 工学部, 名誉教授 (30064950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統計的信号処理 / 自己結合信号 / 端子間電圧 / FPGA |
Outline of Annual Research Achievements |
自己結合型レーザ距離センサは、様々な要因によって発生する戻り光ノイズのうち、距離に関係したノイズ成分をモードホップパルス(MHP)として検出し測定する。このセンサを用いた距離測定の研究では、MHPの周波数をFFT解析して測定してきた。しかし、FFTによってMHP周波数を測定するには、膨大な計算量を必要とするため、実時間測定ができず、非定常状態のターゲットに対する測定もできなかった。 実時間測定のためのディジタル信号処理としてDSPを使った信号計数補正法が発案されているが、フォトダイオード(PD)を用いない端子間電圧から得た自己結合信号を利用した場合、自己結合信号がノイズ信号に埋もれてしまい、ノイズ信号の中から自己結合信号を信号処理により求めなければならない。 自己結合信号をノイズ信号から求めるにあたり、信号処理時間を短くするため、MHP周波数でなく、MHP周期を利用した。次に度数分布全体の情報からMHP周期がどの値の範囲であるかを求め、その範囲の中からMHP周期の値を求めるという、信号処理方法を提案し、FPGAで実現した。 その結果、FPGAで信号処理して求めたMHP周期は、MHP周期と距離の関係を表す理論直線付近の値となった。FFTを利用した測定方法と比較すると誤差はまだ大きいが、ノイズにより求める事が難しかった端子電圧の信号から距離を約6msの時間で求める事に成功した。 PDを用いない端子間電圧を利用した自己結合型レーザ距離センサでもFPGAを用いた統計的ディジタル信号処理により、安価な測定装置でも実時間で距離測定が可能な事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VCSELの端子間電圧から得た自己結合信号を利用した距離センサーの実現の為に必要な統計的信号処理の方法を新たに提案し、装置を作成した。自己結合信号を統計処理することにより、距離を求める事が可能な事を示した。 この研究のもう1つの目標である、リアルタイム信号処理は、半導体レーザの波長変調に使用している、三角波の立上り時間である、2ms分の端子間電圧から得られる信号に含まれる自己結合信号の情報量では、統計処理を行っても度数分布が得られないのでまだ実現できていないが、6msで測定できる装置をFPGAを使って実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
半導体レーザの端子間電圧から得た自己結合信号の信号処理のリアルタイム化に関しては、VCSELの注入電流の変化による発振波長変化範囲を大きくできれば、より多くの自己結合信号が得られると考えられるが、今現在そのように大きく波長を変化出来るVCSELは存在しない。そこで、FPGA内の信号処理方法を今一度精査し、度数分布を効率よく処理できるよう並列処理のアルゴリズムを見直してみる。 次に、現在の実験装置の問題点である、近距離測定の難しさを改善する事を目指す。今回作成した実験装置では、自己結合信号が得やすいように、レーザ光を集光照射しているが、この方法では近距離においては、対象物からの反射光が半導体レーザの活性層内に戻らないので、自己結合信号が生じず、現在の信号処理方法も近距離になる程、誤差が大きくなる。そこで、レーザ光を並行ビームにし、近距離で測定可能な装置の開発を目指す。 また、自己結合信号の信号処理方法も近距離で測定可能な方法を新たに提案し、近距離計測も可能な計測装置の実現を目指し研究を進める。また、自己結合信号の応用として、自己結合効果を利用した音波観測や距離・速度の同時測定も可能な信号処理方法の研究も進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究のメインがFPGAの論理合成プログラムの作成になり、回路等の作成費や計測機器の購入費用が抑えられたためである。また、論文掲載が、年度をまたいだので、印刷料等が年度内に生じず、次年度生じる予定となった事もある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、最終年度なので、今まで開発した装置を応用し、近距離測定や、距離速度同時測定等、自己結合信号を利用した他の測定でも利用できるよう、新たな信号処理方法を検討し、実験を行う。また、自己結合信号を利用した研究の発表も国内外で精力的に行う予定である。
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Research Products
(12 results)