2014 Fiscal Year Research-status Report
水晶振動子式温室効果ガスセンサの開発とその温湿度補正法の構築
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26420400
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
村岡 茂信 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40097994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 温室効果ガスセンサ / QCM / 感度の温湿度補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、局所的かつリアルタイムで日常的に簡便に使用できる安価な水晶振動子式温室効果ガスセンサ(QCM)の開発およびその温湿度補正法の構築を目的とするものである。 まず、各種の温室効果ガスのうち大気中に最も含有量の多いCO2濃度センサを作製した。これはCO2を選択的に吸着するAcrylonitrile-Styrene Copolymer(以後ASと記す)を感応膜として水晶振動子に修飾したものである。このQCMの特性を調べたところ、①大気の主な成分のうちCO2と水蒸気に感度を有し,O2とArには感度をもたない。②湿ったCO2ガスに対する測定結果(QCMの周波数変化量)に湿度補正(湿度変化に対するQCMの周波数変化量を差し引く)を施して求めた感度は,乾燥CO2ガスに対する感度とほぼ同じ値となり、湿度補正を行えば湿ったCO2ガスの濃度も測定できる。③CO2と湿度に対する感度はAS膜厚の増加と共に大きくなる。等を確認した。今回試作したQCMのCO2濃度感度は20Hz/%程度になた。このQCMのCO2や湿度に対する感度の温度特性を調べた結果、これらが環境温度に依存することが判明し、QCMの温湿度補正法を検討することにした。 平成26年度は、ASを修飾したQCMとStyrene Polymer(以後SPと記す)を修飾したQCMを作製し、種々の温湿度での感度特性のデータを収集した。 平成27年度以降は、これらのデータを基に、CO2センサとしてのQCMの感度の温湿度補正法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記したように、平成26年度は、ASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMについて、温湿度補正法を検討するため、種々の温湿度での感度特性のデータを収集した。当初の計画では、初年度の平成26年度に平成23‐25年度の科研費により開発したCO2センサ(QCM)を用いて感度の温湿度補正法を構築し、各種の温室効果ガスに対する感応膜の開発も並行して行う。平成27年度以降は、AS以外の感応膜の開発も行い、これらを修飾したQCMの感度と温湿度特性を明らかにし、これらを基に温湿度補正法を検討し、温湿度に影響されない温室効果ガスセンサを開発する。というものであった。 実際には、平成26年度につぎの①、②を実施した。①ASを修飾したQCMを種々作製し、種々の温湿度での感度特性のデータを収集した。②CO2と湿度に対する感度がASと異なる Styrene Polymer(以後SPと記す)を修飾したQCMを作製し、これらの感度特製のデータを収集した。 平成27年度以降、研究代表者は工学部所属に変わりはないが、所属学科を離れるため研究協力者の確保が容易でなくなる。このため、研究協力者の確保が容易な平成26年度中に、感応幕としてASの他にSPを開発し、これらを修飾したQCMを多数作製し、種々の温湿度におけるASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMについて、集中的に感度データを収集した。このように、平成26年度は次年度以降に開発予定の感応膜も開発し、これらのデータも収集したため、温湿度補正法の構築には至っていないが、本研究はおおむね順調に進展していると考える。平成27年度にはこれらのデータを解析し、温湿度補正法について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度欄に記載したように、平成26年度は、ASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMを多数作製し、種々の温湿度におけるこれらQCMのデータを集中的に収集した。 平成27年度以降は、平成26年度に収集したデータを基に温湿度補正法を検討する。また、並行して新しい感応膜の開発も試み、ASやSPより優れた感応膜が開発できた場合は、これらを修飾したQCMも作製する。さらにこれらの感度および温湿度特性も明らかにして、これらに対する温湿度補正法も検討する。さらに、QCMに電源、発振回路、カウンタ回路、演算回路、ディスプレイを組み合わせた安価で実用的なセンサの開発も試み、地球環境の保全や健康管理に貢献する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が平成27年度から工学部には所属するが機械工学科を離れることになったため、研究協力者の確保が容易でなくなる。このため、平成27年度以降は研究協力者を確保するための人件費や謝金が必要になることが予想されるため、平成26年度は既存の装置で実験データの収集に努め、新しい実験システムの構築は断念し、物品購入を最低限に抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画調書で申請した物品については、平成27年度以降、人件費や謝金を考慮しながら可能な範囲で購入して新しい測定システムを構築する予定である。
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