2014 Fiscal Year Research-status Report
常温常圧でピコワット分解能のMEMS方式高速大面積光カロリメータの開発と応用
Project/Area Number |
26420407
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
雨宮 邦招 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60361531)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 光カロリメータ / 標準器 / MEMS / 高速高感度 / 常温常圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
高スループットな精密絶対光パワー計測を可能にする、バイメタルMEMS方式温度センサに基づいた光カロリメータ標準器を開発することを目的とし、本年度は(1)バイメタルMEMSセンサの微小変位検出系の構築、(2)環境起因ノイズ相殺のための双子型センサ系、について検討を行った。 2mm角~5mm角の有感領域を持つSi-AlバイメタルMEMSセンサの試作品について、熱変形による微小変位を検出できるフィゾー干渉計を構築し、応答およびノイズ特性を評価した。各センサの応答度は、設計値より10分の1から2分の1程度小さい値が得られた。井桁構造型センサの支持ビーム幅に依存しているとみられ、またAlスパッタリング膜の膜質も関係しているものと考えられる。干渉計信号のノイズレベルを等価ノイズパワー(NEP)に換算すると数100 nW 程度と見積もられ、目標値に4桁近く及ばなかったが、これは主にフィゾー干渉計の分解能が支配的と考えられる。変位検出系にファブリペロー共振器を採用し、フィネスを向上させることで 1 nW 未満のNEP達成が期待できる。 双子型センサ系の検討においては、同じセンサ形状・サイズにおいて同じ応答度を示すことが重要であるが、実験的に確認したところ特性にバラつきが見られた。Alスパッタリング膜の膜質など、歩留りに改善の余地があるものと考えられる。 今後引き続き、干渉計方式変位計の感度向上、低ノイズ化のための風防や防振、双子型動作などの対策を行う予定である。本センサは分散型分光分析など、微弱光の精密測定が必要とされるアプリケーションにおいて有用であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初、MEMSセンサの設計に用いていた有限要素法ソフトウエアを所属機関のライセンスで利用していたが、初年度途中で利用停止となったことから、設計にかかるソフトウエアの見直し、及び必要経費の再検討を余儀なくされた。それゆえ当初計画で挙げていたバイメタルMEMSセンサの微小変位検出系については、本センサの理論ノイズレベルに迫る分解能を有したファブリペロ共振器型干渉計の構築までには至らなかった。 ただし、採用したフィゾー干渉計方式の固有ノイズレベルよりも、センサ固有のノイズの方が小さい可能性は示せたと考えている。双子型センサ化によるさらなるノイズ低減は微小変位の高分解能検出を前提としているため、併せて今後取り組んでいきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度計画にあった(1)バイメタルMEMSセンサの微小変位検出系の構築,(2)環境起因ノイズ相殺のための双子型センサ系の検討について遅れを回復するとともに、(3)バイアス用ヒータを実装したバイメタルMEMSセンサの設計・試作を進め、センサの実効時定数短縮を目指した等温制御機構を導入することも検討する。
|
Causes of Carryover |
研究開始当初、MEMSセンサの設計に用いていた有限要素法ソフトウエアを所属機関のライセンスで利用していたが、初年度途中で利用停止となったことから、設計にかかるソフトウエアの見直し、及び必要経費の再検討を余儀なくされた。それゆえ当初計画で挙げていたバイメタルMEMSセンサの微小変位検出系にも遅れが生じ、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画にあった、MEMSセンサの理論ノイズレベルに迫る分解能を有したファブリペロ共振器型干渉計の構築、及び双子型センサ化によるさらなるノイズ低減について、遅れを取り戻すため必要な経費、並びにこれまでの検討を踏まえた再設計に基づくMEMSセンサの試作費用等に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)