2017 Fiscal Year Research-status Report
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26420417
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 有三 神戸大学, システム情報学研究科, 名誉教授 (80111772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増淵 泉 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (90283150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PID制御系 / M%整定時間 / PSO / ハードディスク / ガソリン機関回転速度系 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究では,概略,以下の3つの結果を得ることができた. 1)開ループのゲイン交叉周波数の上限を制約した下でのM%整定時間を最少とするPID制御系の設計.これについては制御対象が4次以下の場合についてPSO(粒子群最適化法)を用いる設計法を提案できた.制御系の次数が3以上の場合に最適な極の分布はいわゆる代表根の極分布ではないという新しい知見が得られた.また,制御対象が有限零点を持たない場合は,1つのゲイン交叉周波数の上限に対して設計された制御パラメータから任意の上限に対する制御パラメータを簡単に計算できる.実際のシステムにおいては高域に共振項を含む場合が少なくないが,それほど高速な動作を必要としない場合には高域のゲインを抑えるような補償器を用いることで対処できる. 2)モデルフォロイング制御の改良.高域に不確かさを含む共振項を含み且つ高速な動作を要求されるばあいについて,モデルフォロイング制御の改良を考案した.この結果をハードディスクのヘッドの制御に応用して良好な結果をえることができた.これについては,発表準備中である. 3)整定時間指定サーボシステム設計手法.上記のPID制御系の設計方法の利点と非線形計画法を組み合わせたガソリン機関回転速度系の適応化の検討を行い,その有効性をシミュレーションと実機を用いた検証で確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,(A)最適な拘束系の制御に関する理論的検討と応用,(B)リファレンスガバナを用いる制御のオンライン計算量の削減,という2つの課題に関する研究を遂行することを目標としていた. (A)については,PSOを用いたPID制御系の設計法が有効に使えることを確認できた.さらに,得られた理論的検討結果をガソリン機関回転速度系の適応化の検討を行い,その有効性をシミュレーションと実機を用いた検証で確認することができた.また,PSOを用いたPID制御系の設計法を拘束系の制御にまで推し進める計画であったが,制御対象が実用上重要である「低次系+高域共振系」である場合の制御方式の検討に時間を取られ,適切な最適化問題としての定式化まで行き着けなかった. (B)については,リファレンスガバナを用いる拘束系の制御において必要となる出力最大不変集合の内側近似法について検討した.また,隣接ファセット集合を予め計算しておくことにより,オンライン計算の高速化についても検討したが,やはりオンライン計算量が多いという結果となった.また,モデルフォロイングを用いて低次の規範モデルに対してリファレンスがバナをもちいた制御を行う方法については,モデルフォロイング制御の改良に時間を取られて,高速化の実証までは研究をすすめることが出来なかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,次の課題を中心に研究をすすめる計画である. (A)モデルフォロイング制御を採用した場合の制御系を対象に,リファレンスガバナを用いる拘束系の制御問題を最適化問題として定式化し,それをPSOを用いて解くことを検討する. (B)モデルフォロイング制御を採用する場合,低次の規範モデルに対してリファレンスがバナをもちいた制御を行うことにより,オンライン計算量をある程度までに抑えることを検討する. (C)リファレンスガバナを用いる拘束系の制御においては,理論的には出力最大不変集合を用いる場合にしか結果が得られていないが,シミュレーションなどでみる限りは最大不変集合でなくても有限ステップまでを考慮して計算された集合を用いても制御結果に影響を与えないことがわかっている.このことが一般的に正しいのであれば,オンライン計算量は大幅に削減することができるので,この結果をもう少し理論的に検討する.
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Causes of Carryover |
2016年度に国際会議へn出張を取り止めたため,約41万円が未使用となっていた.2017年度は2つの国際会議に参加・発表を行ったが,その内の1つが東京で開催されたためにそれほど旅費がかからなかったために,約20万が未使用となった.2018年度では,2つの国際会議に参加・発表予定である.また,年度末に成果報告書を作成する予定である.
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