2016 Fiscal Year Research-status Report
中性子を用いた温湿環境変化を受けるセメント硬化体中の水分と体積変化の定量的評価
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26420434
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 教授 (90164649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 健 公益財団法人鉄道総合技術研究所, 構造物技術研究部コンクリート構造, 研究員 (40450746)
大野 又稔 公益財団法人鉄道総合技術研究所, 構造物技術研究部コンクリート構造, 研究員 (50649390)
齊藤 泰司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (40283684)
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 教授 (00241745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子ラジオグラフィ / セメント硬化体 / 水分移動 / 体積変化 / 表面撮影 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度までに確かめた試験体のひずみ変化を、表面可視画像(通常カメラ撮影)から解析し算出する手法を用いて、試験体表面にスプレー塗料によるグラデーションの作製、または、シールなどの格子点を設置することにより、歪みの計測精度について検討を行った。その結果、試験体とカメラの距離、シャッタースピード、光量などの条件を同様になるように設定する必要があることが示された。更に、照射室内部にLEDライトの設置方法や、斜めに位置するカメラ画像の補正についても検討し、補正方法を求めた。これらを、ひずみゲージや変位計などの値と比較し、計測のためのノウハウの蓄積を行うと共に、その有効性と精度の再検討を行った。 中性子ラジオグラフィ画像による含水量変化の計測については、利用を予定していた京都大学原子炉実験所内施設、および理化学研究所の装置が、安全対策による改修および移設などのために、平成28年度も使用できなかった。その為、同一試験体による含水量変化と体積変化に伴うひずみ分布の比較データを得ることがでなかった。そこで、過去に行ったデータの画像解析手法の改良を進め、水分量の定量化の方法の改良を検討し、実験装置が異なっても取得画像から得られる画像の補正手法を導いて、重量法との比較による検証と、実験画像の解析方法のノウハウの蓄積を行った。 更に、国内で中性子照射装置で稼働している、J-PARC中性子準弾性散乱を利用することにより、水分移動やそれに伴う体積変化に関連する細孔構造について考察を進めると共に、同施設内の中性子小角散乱の計測を利用した、より精度の高い水分量測定のための解析方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題遂行のために使用を予定していた、京都大学原子炉実験所内施設のラジオグラフィ装置が、原子炉保安のための整備工事、および更なる追加工事の発生などのために原子炉施設の使用ができなかった。更に、代替え装置と考えていた理化学研究所の小型加速器施設も移転工事のため使用できなかった。その為、28年度に予定していた中性子ラジオグラフィ試験が全て実施できないこととなり、中性子ラジオグラフィを用いた試験体内部の水分量の測定を得ることができないため、試験体内部の水分と体積変化の関係の取りまとめに遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に予定していた研究計画調書に従い、各施設の中性子ラジオグラフィ試験装置の再稼働を待って、中性子ラジオグラフィ試験を実施すると共に、実験結果を基にした水分移動に係わる諸係数や湿度分布状態の解析的検討を行う。 尚、実験の遂行にあたって、作業者全員が法令「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び「茨城大学放射線障害予防規程」に従うとともに、実験作業中は、京都大学原子炉実験所の規則を遵守し、安全かつ体調管理を怠らないことに注意を払う。
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Causes of Carryover |
当初見込んでいた、原子炉施設での実験ができなかったため、その費用と旅費等により残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験実施のための治具などの材料費(消耗品)、京都大学原子炉実験所までの移動旅費(調査・研究旅費)、および実験補助者や解析ノウハウを提供頂く費用(人件費・謝金)などへの使用を計画している。
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