2015 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムの溶脱による無筋コンクリート中の多孔化・ひび割れ進展速度の解明
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26420441
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 定雄 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (90339987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 俊一 金沢工業大学, バイオ・化学部, 准教授 (30367453)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルシウム溶脱 / トンネルコンクリート / 経年劣化 / 維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は無筋コンクリート中のカルシウム溶脱による物理化学的劣化現象をモデル化した室内実験により,コンクリート中の多孔化・ひび割れ進展速度を把握することを目的としている.当初計画では,以下に示す3つのフェーズを計画した.【フェーズⅠ】覆工コンクリートをモデル化した水セメント比の異なる供試体(セメントペースト硬化体)を用いて,水酸化カルシウムの溶脱速度や多孔化速度を概略的に把握し,溶脱速度や多孔化速度の定量的評価を可能にする実験法を確立する.【フェーズⅡ】フェーズⅠと同様の供試体を用いて,水酸化カルシウムの溶脱速度や多孔化速度を定量的に把握する.また,水酸化カルシウムの溶脱現象と炭酸化現象による生成物質の相違を明らかにする.【フェーズⅢ】50年以上を経過した覆工コンクリートから採取したコアを用いて水酸化カルシウムの溶脱状態や多孔化状態を把握し,フェーズⅡから得られた知見とあわせて実覆工コンクリート,ならびに他の構造物の無筋コンクリートへの適用性を検証する.平成26年度では,【フェーズⅠ】で示した実験法を検討した.その結果,セメント硬化体からのカルシウム溶脱速度は相当に遅く,あわせて多孔化速度も遅いことが判明した.これを受けて,平成27年度では,溶脱した水質中に含まれるカルシウム量を定量的に把握する新たな実験手法の確立に着手した.平成28年度では,セメント硬化体のカルシウム溶脱現象の把握とカルシウムが溶脱した水質中に含まれるカルシウム量を定量的に把握する実験手法の確立を継続して実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前記,研究実績の概要に記述したとおり,平成26年度当初に目標とした【フェーズⅠ】の成果を受けて,平成27年度では,カルシウム溶脱量を定量的に把握するための新たな実験手法を検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では,キレート滴定を用いた手法等,カルシウム溶脱を定量的に把握するための新たな実験手法の開発を実施する.結果として,カルシウム溶脱に伴うセメント硬化体の多孔化を検証する予定である.
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Causes of Carryover |
研究実績の概要に述べたとおり,【フェーズⅠ】の成果を受けて,カルシウムが溶脱した水質実験を新たに追加修正して研究を遂行している.このため,実験使用予算に変化が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度では,上記した水質実験とともに,当初予定のセメント硬化体のカルシウム溶脱による変化を測定する実験もあわせて遂行する予定である.したがって,当初予定の平成27年度の実験計画もあわせて実施する予算を考えている.
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