2014 Fiscal Year Research-status Report
断層変位による表層地盤の変形と構造物被害軽減に関する研究
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26420453
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷山 尚 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (80236710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 正人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40334156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 断層変位 / 埋設管 / 個別要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
地盤内部の断層変位の進展について、正断層にわずかに横ずれ断層成分を含む変位を受けた場合は、横ずれ断層変位だけを受ける場合とは逆ステップの雁行パターンを示す可能性があることを示し、2011年4月11日福島県浜通の地震において、いわき市大久保地区で観察された地震断層の雁行パターンが、このことに起因する可能性があることを示した。基盤における断層のずれを、表層地盤内の構造物位置におけるずれと想定することが適当でない場合があり、地盤内の断層変位進展プロセスを考慮する必要性を示す成果となっている。 断層変位を受ける埋設管について、管を有限要素法、地盤を個別要素法を用いた数値解析を行い、断層変位の進展に伴って、管が地盤から受ける力とその変化について調べた。その結果、基盤の断層変位が増して断層変位が管まで進展する過程では管に作用する力が増す一方、さらに基盤変位が大きくなると、地盤内部で破壊が進展することによって管に作用する力は減少すること、管に作用する力は、基盤断層の延長上からやや離れたところで最も大きくなることを示した。また、管が存在することによって、地盤の変形形状や地盤内部の断層変位の進展パターンが、管が存在しない場合とは変化し、そのため、管に作用する力は、断層を挟んで地盤が剛体的に変位する場合とは異なってくることを明らかにした。断層変位による埋設管の変形を考える上で、管の周囲の地盤の変形を考慮する必要性を示す成果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構造物周辺での断層変位の進展と構造物被害に関しては、数値解析を行って、断層変位の進展過程やそれによる埋設管の変形形状を明らかにしつつあり、概ね、計画通り進んでいる。 一方、26年度は、基盤断層の変位方向が地盤内を進展する断層の進展プロセスに与える影響の解明に当初の計画よりも多く時間を割いたため、地盤材料が断層進展プロセスに与える影響の解明が当初の計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
適切な地盤材料を用いることによって構造物被害を軽減することが可能か、模型実験により、地盤材料が断層進展プロセスに与える影響、構造物の変形に与える影響の把握を試み、実験を対象とした数値解析によってメカニズムの解明を目指す。 構造物周辺での断層変位の進展と構造物被害に関しては、引き続き解析を行って、構造物周辺での断層変位の進展プロセスをさらに詳細に調べるとともに、模型実験結果ともあわせて、構造物が地盤によって大きく変形する条件、地盤が大きく変形する一方で構造物の変形が小さくなる条件の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
26年度は数値解析を優先的に行い、実験は期末近くになってから始めたことにより、当初実験用に計上していた経費がわずかであるが残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
模型実験を行うに当たって、埋設管模型や計測機器に使用する計画である。
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