2015 Fiscal Year Research-status Report
結晶質岩における超音波減衰メカニズムの解明と均質化モデルの提案
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26420459
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木本 和志 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (30323827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面波 / 超音波 / 花崗岩 / き裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、花崗岩供試体2体と、アルミニウムブロック1体を用いて、表面波の計測を行った。表面波計測は、昨年度構築した、レーザー振動計を受信に、接触型横波探触子を送信に用いる超音波スキャンニングシステムによって行った。非均質材料である花崗岩供試体においては、入射ビーム軸に平行な複数の側線において表面波を計測し、その結果を加算平均することで安定した波形データが得られることが今年度明らかとなった。これにより、コアサイズ程度の花崗岩試料においては、500KHz程度までの帯域で超音波を表面波として透過させることが可能であることが示された。 さらに、平均化波形から群遅延を算出し、その結果から表面波の群速度を評価したところ、群速度は2000~2500m/sec程度となり、顕著な分散性は示さないことが分かった。このようにして得られた群速度は、2つの花崗岩供試体の間だけでなく、均質材であるアルミニウムの表面波群速度とも有意に異なる結果となった。これは、コヒーレントな位相構造をもつ、超音波波形にも、花崗岩供試体の微視的な性状の影響が反映されていることを意味する。従って、非分散的な表面波の速度を計測することで、供試体の結晶粒界やマイクロクラックに関する情報を非破壊的に得ることができる可能性があると言える。結晶質岩の損傷度や、長期的な力学的挙動を調べる際には、岩石試料の微視的な性状について知る必要があり、今年度行った研究の結果は、結晶質岩の均質化モデルを考案するためだけでなく、岩石の超音波非破壊検査の高度化にも資するものと考えらえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに、結晶質岩中の超音波を精確に計測するための実験システムを構築と、コアサンプルの群速度を高い再現性と信頼性を持って評価する方法の開発を行った。これにより、結晶質岩における超音波の弾性波動論的モデリングを行うための、実験データを得ることが可能となっている。よって、最終年度には、均質化モデルの提案に向けた理論的、数値解析的な研究に着手することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、以下の項目について研究を行う。 1.花崗岩における表面波速度の方向依存性(異方性)評価 2.花崗岩試料の薄片作成と試料観察 3.弾性波シミュレーションによる実験結果の再現 4.実験、数値シミュレーション結果を考慮した、花崗岩の透過均質媒体(均質化)モデルの提案
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Causes of Carryover |
超音波計測に用いるレーザー振動計の機能拡張費用が、当初見積もりより若干の値引きがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
レーザー振動計の反射材と接触媒質が当初計画より、消費量が多いことから、この購入費用に充当する。
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Research Products
(3 results)