2014 Fiscal Year Research-status Report
震源から一貫して捉えた地震動・津波による重要生産・社会基盤構造物の複合応答評価法
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26420462
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
原田 隆典 宮崎大学, 工学部, 教授 (70136802)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 震源断層 / 3次元地震動解析 / 3次元津波解析 / 3次元地震動・津波応答解析 / 橋梁 / 貯蔵タンク / 地震動・津波複合応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理論的方法を用いて震源から構造物応答系を3次元非線形系とした厳密な定式化を行い、この定式化に従って、地震動による構造物被害状態を初期条件とする3次元津波構造物応答挙動を評価する「震源から一貫して捉えた地震動と津波による地盤・基礎・構造物系の3次元非線形複合応答評価法」を開発する。そして、重要生産・社会基盤構造物に本研究の評価法を適用し、地震動と津波による構造物被害発生過程の評価等、従来の耐震設計で考慮されて来なかった津波の影響を評価し、現行の重要生産・社会基盤構造物の津波を考慮した耐震・耐津波対策法や現行の耐震設計の改良手順と方法を提案することを目的とする。 26年度には、震源から橋梁と燃料タンクに至る地震動と津波の近似3次元非線形複合応答解析法を用いて、東日本大震災で被災した橋梁の被害状況を再現し、橋梁周辺地形に大きく影響される津波波力等の影響が大きかったことを示した。 重要生産施設内の円筒形タンクと球形タンクの地震動と津波の近似3次元非線形複合応答解析を実施し、タンク類では、地震による被害が発生し、その後の津波波力による応答挙動が、地震動による応答を考えない津波のみ応答挙動が大きく変わることを明らかにした。例えば、現状の球形タンクでは、支柱により球形タンクは地面から2~3m高いところで支えられており、津波が作用する領域が小さくなり、津波波力のみでは安全と判定されるものの、津波の前に作用する地震動により球形タンク支柱が損傷し、タンクが地面に接する状況が起こり、その後の津波で流出する現象がシミュレーションから明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「震源から一貫して捉えた地震動と津波による地盤・基礎・構造物系の3次元非線形複合応答評価法」を開発することが本研究の重要な目的の一つであり、震源から構造物に至る広域の3次元地震動と3次元津波波形の厳密な解析法と、これまでに研究代表者らが開発してきた2次元と3次元を組み合わせた近似3次元津波波形計算法を比較し、その近似計算法の精度や限界を明確化しなけれなならない課題が残されている。この比較計算に時間を取っているため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で、地震動と津波による構造物の複合応答特性の特徴が定量的につかめてきたため、さらに、対策案等に有益な資料を作成する。 本年度の継続として、震源から構造物に至る広域の3次元地震動と3次元津波波形の厳密な解析法と、これまでに研究代表者らが開発してきた2次元と3次元を組み合わせた近似3次元津波波形計算法を比較し、その近似計算法の精度や限界を明確化する。
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