2015 Fiscal Year Research-status Report
荷重変動が及ぼす道路橋RC床版の破壊メカニズムの検証および耐疲労性の評価
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26420464
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 忠 日本大学, 生産工学部, 教授 (80060218)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RC床版 / 圧縮強度 / 走行振動荷重 / 動的影響 / 耐疲労性 / S-N曲線 / 寿命推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
道路橋RC床版の損傷事例の多くは大型車輌の繰り返し走行による疲労損傷である。とくに伸縮継手を通過した付近のRC床版の損傷が著しい。この原因となるのは、伸縮継手を通過する際に発生する大型車両の荷重変動によるものと考えられる。そこで本研究では,大型車輌が伸縮継ぎ手の段差や路面の凹凸の影響により発生する荷重変動に着目し、モデル化したRC床版供試体を用いて輪荷重走行振動疲労実験を行い、荷重変動が及ぼすRC床版の破壊メカニズムおよび耐疲労性に及ぼす影響について評価を行う。また、疲労寿命の推定を行うS-N曲線の提案を行い、荷重変動を受けるRC床版の損傷解明、設計法の確立を行う。さらに、道路橋長寿命化修繕計画におけるRC床版の補強対策や維持管理手法構築の一助とるものである。 平成27年度は、実橋RC床版の1/2モデルと3/5モデルの供試体寸法およびコンクリートの圧縮を24N/mm2、30N/mm2とした床版供試体を用いて基準荷重に比して±20%、±30%の正弦波形による輪荷重走行振動重疲労実験を実施し、振動荷重およびコンクリートの圧縮強度がRC床版の耐疲労性に及ぼす影響について検証した。その結果,圧縮強度が道路橋示方書に規定するコンクリートの設計強度を下回った場合は、耐疲労性が評価されない結果が得られた。また、振動荷重が及ぼすことにより疲労寿命が大幅に低下する結果が得られた。さらに、RC床版の疲労寿命の推定にはS-N曲線式が用いられているが,本研究における輪荷重走行振動疲労実験から評価される等価走行回数を基に、RC床版のS-N曲線式との整合性について検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学が所有する「輪荷重走行振動疲労実験装置」は、荷重変動を正弦波形で振動を再現させながら連続走行が可能な装置であり、我が国で唯一振動荷重での走行が可能な実験装置である。例えば、基準荷重100kNに±20%の振動荷重が作用した場合は、上限荷重120kN、下限荷重は80KNの正弦荷重となる。また、従来の一定な荷重での疲労実験も可能な装置である。この装置を用いての平成26年度から3年間の計画で、実験は平成27年度に実験終了の予定であった。しかし、本実験では大型車輌の実荷重以上の荷重による疲労実験を行うことから、実験装置の故障も多く,27年度は実験の繁忙期である9月に故障し,3ヶ月の実験が中断し、当初の計画から数ヶ月遅れる結果となった。その後、実験を開始している。よって、平成28年度は、残りの実験を行い、疲労寿命の推定を行うS-N曲線の提案、荷重変動を受けるRC床版の損傷解明、設計法の確立を行う予定である。また、論文投稿により、多くの査読者の意見により、平成27年度まで実施した輪荷重走行振動荷重疲労実験による破壊に至った供試体の切断面の破壊メカニズムの検証が指摘され、軸方向、軸直角方向に切断し、断面方向の破壊状況を検証を追加した。以上、数ヶ月の遅れは生じたものの今年度で終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は最終年度であり、残りの実験を終了させる予定である。実験終了後、平成26年度、27年度に得られた各データを含めた構造解析を行う。また、27年度に切断加工した供試体の破壊メカニズムの検証を行う。平成28年度は、2タイプのモデル化したRC床版の試験体を追加製作し、走行振動荷重が及ぼす影響を考慮したRC床版の設計法の提案を行うことを検討している。 輪荷重走行振動疲労試験から得られた耐疲労性の評価は、筆者らが既に報告している一定荷重での輪荷重走行疲労実験から得られた等価走行回数およびS-N曲線と比較し、変動荷重が耐疲労性に及ぼす影響を検証する。 道路橋長寿命化修繕計画においてRC床版の補強対策が実施されている。この修繕計画ではRC床版を50年あるいは100年間維持するために数回の補修・補強が計画されている。そこで本研究では、走行振動荷重が及ぼす影響から許容できる伸縮装置の段差および路面の凹凸においても提案し、RC床版の維持管理における点検方法や健全度評価へと発展させ、最終年度として総括する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に実験装置の故障により、中断した実験供試体および論文投稿での査読意見を反映するために供試体の設計に時間を要した。また、試験体の製作時期が冬期になるので、次年度、平成28年度、予算を繰り越したものである。 よって、1/2モデルの供試体を5体製作し、実験を進める計画である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、実験装置の故障によって遅れた実験を再開する。さらに、理論解析および寿命推定の際に必要な耐荷力性能を追加実験より評価し、寿命推定式であるS-N曲線式との整合性を検証する。動的影響を考慮した場合の耐荷力性能は既往の研究でも評価に至っていないのが現状である。そこで、次年度の予算の使用については、振動荷重が及ぼす影響にる耐荷力性能の検証を行うためのRC床版供試体を5体製作する費用とし、この5体で耐荷力性能を検証する予定である。
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Research Products
(1 results)