2014 Fiscal Year Research-status Report
多機能型地盤調査ツールの開発と常時微動観測を組み合わせた地盤内情報化手法の構築
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26420479
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小林 泰三 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10380578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 地盤調査 / せん断試験 / 常時微動観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年多発する地盤災害の予測・防災・減災に資することを目的に、斜面崩壊の危険度を合理的に診断するための地盤調査技術を開発している。具体的には、1)小口径のボアホールを対象とした孔壁直接せん断試験と透水試験を行える多機能型地盤調査ツールを開発した上で、2)面的な非破壊調査手法である「常時微動観測技術」を組み合わせた3次元の地盤内情報化技術を構築する。 平成26年度には、多機能型地盤調査ツール(孔内せん断試験ツール)に関する研究開発を実施した。本試験ツールは、予めポータブルドリルで削孔した小口径のボアホールにせん断プローブを挿入し、孔壁に対してせん断部を所定の圧力で拡張・圧着した状態で引き上げ、孔壁で摩擦・せん断試験を行おうとするものである。せん断面に作用する水平載荷応力とせん断応力を測定することによって地盤の強度定数を求めることができる。先行して試作したプローブでは、内圧をかけてせん断部を拡張した際に、同面が樽型に変形したり、塑性変形を起こして収縮時に元に戻らないといった問題点があった。当該年度には、CAEに基づいて再設計し、これらの問題点を改良したプローブを新たに開発するとともに、室内にて模型チャンバー試験を実施し、その試験性能を評価した。その結果、改良プローブで取得した土の強度定数と別途一面せん断試験を実施して得られたそれらが一致し、せん断試験機としての妥当性を確認することができた。今後は、他の土質試料を用いた室内模型実験や現場実験を実施し、性能や機能の検証を行うともに、実用化に向けた検討を行っていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、せん断試験機能に着目した要素技術開発とその検証を行った。模型土槽を用いた実証実験では不良個所等が現れたが、当該期間中にそれらを改良した装置を完成させることができた。改良したプローブでは概ね良好な実証実験データが得られており、せん断試験ツールに関して実用化の目途を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、既に開発したせん断試験プローブによる室内および現場実証実験を行い、実用化にむけた更なる改良、性能・機能評価を行っていきたい。また、当初計画では、ハンドドリルで削孔したボアホールを利用することを考えていたが、現地調査の更なる簡便化を目指して、小口径ロッドの動的貫入によってボアホールを作成する方法について検討したいと考えている。ドリル削孔の手間が省ける上、岩盤との境界面(すべり面)を検出できるようになると考えている。そこで、既に開発したプローブの実証実験を行うとともに、ロッド貫入によって作成されるボアホールにも対応できる小口径のプローブを開発したいと考えている。
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Causes of Carryover |
孔内せん断試験機開発に要した材料費が安く抑えられたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
孔内せん断試験機改良のための材料費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)