2014 Fiscal Year Research-status Report
豪雨時の斜面防災技術のための高分子通気防水シートを用いたキャピラリーバリアの構築
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26420480
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河村 隆 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (50324231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 健夫 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (50193933)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地盤工学 / 斜面防災 / 不飽和土 / キャピラリーバリア / サクション / ジオシンセティックス / 保水特性 / 透水性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.通気防水シート単体および土との複合材料としての保水特性:斜面保護に用いられる保護シートと粒状試料の複合供試体に対して加圧膜法による保水性試験を行った.保護シートには,高分子通気防水シート(透水係数k=1.3×10-8m/s)と不織布(k=2.5×10-3m/s),粒状試料には豊浦砂(粒径D=0.1~0.4mm, k=1.5×10-4m/s)およびガラスビーズ(D=0.053~0.063mm,k=2.3×10-5m/s)をそれぞれ用いた.保護材の上面に粒状試料を設置し,排水過程による試験を行った.その結果以下の知見を得た.(1)不織布を用いた場合には,粒状試料単体の水分特性曲線と同様であり,低いサクションで含水比および飽和度の低い残留水分状態に至るため,降雨時の浸透防止の効果は得られない.(2)高分子通気防水シートを用いた場合には,粒状試料単体の場合とほぼ同じ空気侵入値AEV(豊浦砂:サクションs=3kPa,ガラスビーズ:s=7kPa)で一度折れ曲がるものの,残留水分状態には至らず,いずれも含水比および飽和度が徐々に減少する挙動となる.すなわち,試料単体の場合よりも高いサクションまで間隙水を保持することができ,斜面保護層としての効果が期待される. 2.通気透水シートと飽和土,不飽和土との接触面における摩擦特性:既存のスライス型せん断試験装置を不飽和用試験装置の改良を実施した.セラミックディスク(メンブレンフィルター)付きのペデスタル,グラスファイバー付き載荷板および供試体作製用のマイターボックスなどを作製し,豊浦砂およびNSF粘土を用いた保水性試験(加圧膜法および加圧板法)実施による試験装置の性能評価を行った.その結果,従来の試験装置と同様に,保水特性(含水比とサクションの関係)を求めることができることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.通気防水シート単体および土との複合材料としての保水特性:斜面保護に用いられる保護シートと粒状試料の複合供試体に対して加圧膜法による保水性試験を実施した.比較のため,土試料単体の場合と保護シートとして不織布を用いた場合の結果の比較を実施しており,おおむね順調に進展している. 2.通気透水シートと飽和土,不飽和土との接触面における摩擦特性:現有の一面せん断試験装置を不飽和土用一面せん断試験装置に改良する予定であったが,気密性・サクションの保持などが困難であることが判明したため,既存のスライスせん断試験装置の改良を実施した.豊浦砂およびNSF粘土の保水特性試験をほぼ完了しており,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.通気透水シートと飽和土,不飽和土との接触面における摩擦特性:平成26年度に作製した不飽和土用スライスせん断試験装置を用いて,高分子通気防水シートと土の接触面における摩擦試験を実施する.試料には保水特性の異なる豊浦砂およびDLクレーを用い,相対密度,飽和度およびサクション(間隙空気圧)の異なる土に対する摩擦試験を実施し,接触面における摩擦角を明らかにする.さらに,斜面におけるサクションの低下を模擬する試験として,初期せん断応力を作用させた状態で吸水させる試験を実施する.試験結果より,サクション・含水比・飽和度の変化と土との接触面における摩擦低下特性を明らかにする. 2.斜面傾斜角のキャピラリーバリア効果に及ぼす影響:急傾斜地に通気防水シートを設置した場合の保水特性,キャピラリーバリア効果について検討するために,模型実験装置を新たに作製する.通気防水シートの傾斜角,地盤の層厚,降雨強度を実験条件として,地表面をオーバーフローする流量,通気防水シートの上面を浸透して流出する流量と通気防水シートを透水して装置下部から流出する流量を測定する.また,装置の側面から土中に挿入した土壌水分計および定点撮影した画像の解析処理によって地盤内の浸透状況を把握する.
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Causes of Carryover |
端数が生じたため,次年度に使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の残額および平成27年度の当初経費を使用して,①通気透水シートと飽和土,不飽和土との接触面における摩擦,②斜面傾斜角のキャピラリーバリア効果に及ぼす影響に関する模型実験,を実施する.
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