2014 Fiscal Year Research-status Report
粒状体解析におけるバネ係数の弾性定数への関連付けと地盤の静的動的変形機構の解明
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26420482
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西村 強 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 勝宣 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60640901)
中村 公一 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90530642)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粒状体解析 / 弾性係数 / ポアソン比 / ばね係数 / 破壊 / き裂進展 / 動的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
地盤構造物の崩壊メカニズムの解明と安定性評価手法の高度化が望まれている.個別要素法(DEM)に代表される粒状体解析法は,質点や剛体の運動により物体の変形を表現する解析法であり,ばねの切断→格子点の分離等の操作により破壊を含む地盤材料の変形解析には有効である.しかしながら,要素間の特性(例えば,ばね剛性)と対象物体の変形特性(例えば,弾性係数やポアソン比)を関連付ける方法が確立していないため,試行解析により強度変形特性を(一方通行的に)求めて使用している例が多い.この問題点の解決に向けて本研究では,係数間の関連付けに関する定式化を,ばねに蓄えられるエネルギーの総和が対象とする物体内のひずみエネルギーに等価であるという仮定を導入して実施した.その過程では,剛体回転に基づく変位を除去した純粋な変形に寄与する変位を算出する手法を提案するとともに,求めた関係式の有効性を次の手順により確認している.平成26年度の実績を要約すると,以下のとおりである. (1)一軸圧縮解析において,弾性定数の入力値に対して数%差でそれの解析値が得られることが判明した. (2)円孔問題の解析において,応力,変形とも弾性解を十分な精度で表現する結果を得た. (3)この解析法において,格子点位置での応力を求めることができることを活用して,破壊の発生とその進展を効率的に表現できることを示した. 以上により,初年度の目標である関係式の誘導と,それを導入した解析手順の構築は達成されている.これらの成果は,平成27年度に開催される国際シンポジウム,国内開催の学会年次講演会に投稿している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,(1)弾性理論に基づくばね係数と弾性定数の関係式を誘導,(2)増分変形解析における剛体回転量の除去と曲げ,圧縮変形の実験と再現解析,これらに加えて,(3)実験材料の静的力学特性の把握を実施項目として掲げている.実績欄にも記載しているが,これらの項目について,計画通りの進捗状況である.入力する弾性定数について,解析の結果として得られる数値の実験結果に対する再現度も,その差5%程度であり,また,要素分割の大小が,その差に与える影響を把握できている.これらに加えて,格子点上での応力算出を可能とする手順を考案しているので,平成27年度に予定する既存き裂の進展に伴う供試体レベルの破壊の解析的表現も可能となっている.しかしながら,解析の安定性を保持するための,ならびに,波動伝播時の減衰性を表現するための減衰定数の決定については,慣性項と如何に関連付けながら決定するか,詳細に検討を要するところがある. 以上のような点から,解析法の細部には検討・考察を要する部分はあるが,おおむね順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
最も重要な関連付けに関する式の誘導が終了し,それによる入力値と解析値の近似度が,その差数%であることから,初年度研究実績の計画に対する達成状況は,おおむね順調に進展していると判断している.今後も,申請時の計画に従い,研究項目を遂行してゆく予定である.特に,平成27年度では,破壊面あるいは塑性域の発生と進展の表現に注力する予定である.まずは,線形破壊力学で知られるき裂先端部の基本的な変形モードの再現と破壊の伝播を解析する予定である.そして,単一き裂を有する供試体の破壊の再現解析を通じて,解析法の性能を示す予定である.関係式の理論的誘導や解析法の構築を中心に進めた平成26年度に続いて,以上のように,本平成27年度では室内実験結果との照合を中心に解析法の実用性を例証する予定である.これらの基礎的な解析に基づき,平成27年度第4四半期以降では,斜面ならびにトンネルといった実構造物の安定解析手法への発展を目指す予定である.そこでは,掘削除荷における応力再配分が地盤に与える影響(地盤材料の破壊)とアンカー工やロックボルト工などの補強材の効果を,注目点おける変位抑止量などを用いて定量的に示す.単なる理論研究に留まらず,実務面への展開を推進する予定である.
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Research Products
(5 results)