2015 Fiscal Year Research-status Report
熱流体注入による有機溶剤汚染地盤の浄化機構に関する研究
Project/Area Number |
26420483
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
椋木 俊文 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30423651)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地盤汚染 / 画像解析 / 浄化 / 粒子間隙構造 / X線CT画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
油系材料による地盤汚染の長期化は,対象とする砂地盤材料の間隙構造の空隙径分布,形状,そして間隙の接続性と関連する.本研究の目的は,X線CT画像解析を用いて油などに代表される軽比重難水溶性流体(LNAPL)の地盤内残留機構と流動機構を解明し,これを踏まえて地盤内LNAPLの浄化メカニズムを解明することである。27年度では、これまでに開発したマイクロX線CTスキャナ対応型の一次元流動実験装置を温度制御可能な実験装置に改良した.また,申請者のグループが提案した画像解析による間隙評価手法を用いて異なる温度条件下(20度と60度)における流体注入による浄化状態の評価を試みた.得られた知見を以下に列挙する. 1)実験条件が60℃の場合,LNAPLも注入流体も粘性が低下するため,流動しやすく流動現象の局所化が生じ,回収率アップの要因にならない. 2)90%以上のLNAPL回収率は,注入圧が急激に減少するBreak throughポイントまでで決定する. 3)60℃状態のLNAPL汚染砂に少なくとも20℃の流体を注入すると,LNAPLの回収率が改善される.
研究成果の意義:ここでは温度制御可能な実験装置を新たに改良し,LNAPLで飽和させた豊浦砂供試体に対して異なる温度条件下で流体を注入する実験を実施した.この実験よりLNAPLの回収量から温度制御による浄化効率を評価するとともに,その供試体のX線CT撮影をすることで,豊浦砂供試体中に残存するLNAPLの残留分布を定量評価することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)26年度に開発に着手したマイクロX線CT対応型高温流体注入実験では、60度の高温空気の圧入を可能としたが、その後の追加実験などで温度制御が定常でないことが判明し、27年度では、この装置を改良することに注力した。その結果、研究実績の概要に明記しているような大きく3つの成果が得られている。 (2)画像解析の高度化を目指して、地盤材料の間隙構造の画像化とその定量化を目指す研究を行ってきたが、その成果が国際ジャーナルに一編投稿中である。 (3)昨年度の報告書で記述した今後の研究推進報告の一つである格子ボルツマン法の導入については、CUDAプログラミングを導入し、かつ3次元間隙構造を幾何情報として取り入れる仕組みまでは完成した。ここでは水で満たされた状態の中に油を注入する現象の定性的評価は可能となりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は最終年度であることから,基本的にこれまで選ら得た研究し成果の見直しと精度評価を行っていく。特に画像解析結果と数値解析結果とを比較し、マイクロX線CT画像では評価が困難な動的なパラメータ(間隙中の流速分布、圧力分布)を評価する。最終的に浄化メカニズムの定量化に努めるとともに、マイクロスケールで得られた知見を如何にマクロスケールへのモデリングに展開するかについて検討していく.
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