2015 Fiscal Year Research-status Report
竹チップの吸水性に着目した高含水比粘性土の地盤改良技術の開発
Project/Area Number |
26420488
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 研一 福岡大学, 工学部, 教授 (20235336)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 竹チップ / 吸水性 / 高含水比底泥 / 竹チップ改良土 / 強制腐朽試験 / 軟弱地盤改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、機械器具費で購入した竹粉砕機を用い、伐採された竹のチップ化において一般的に発生するチップの形状(大きさ、長さ)の確認を行ない、形状の異なる3種類の竹チップを用いて以下の検討を行った。 ①竹チップの吸水特性の把握:水の中における竹の吸水性は、乾燥竹の方が吸水効果が高く、竹チップの持つ膨張収縮挙動により、一旦吸水した水が放出し、6時間程度で一定に落ち着くことが示された。また、透水性の低い粘土中では、水の中での吸水量は得られないが、ほぼ同様な吸水挙動を示すことが分かった。また、伐竹直後でも形状が小さければ吸水による改良が可能となることが示された。 ②吸水泥土処理の検討:運搬可能な必要吸水材添加率は、塑性指数の高い試料ほど含水比の影響を受けることが示された。また、吸水処理後のセメント改良土において吸水材添加率の増加は一軸圧縮強さを低下させ、試料の塑性指数が高いほど一軸圧縮強さは増加することがわかった。 ③竹チップ混合処理土の締固め特性の把握: 竹チップ混合処理土の締固め特性は、竹チップの長さの影響はみられず、添加率の増加に伴い、締固めにくくなり、最大乾燥密度が低下し、最適含水比が高くなることを示した。2)処理土の圧縮強度は、同一セメント量においてチップ長が長くなると強度増加し、チップ添加率の増加とともに強度低下を示すことが明らかになった。さらに材料の曲げ強度特性は、竹チップ混入により曲げ強度が増加し、延性的な挙動を示すことが明らかとなった。 ④竹チップ混合処理土内の腐朽状態の把握:強制腐朽させた供試体は、粘土に直接腐朽による進行は見られず、供試体の表面の竹の腐食によるものであることが明らかとなった。強制腐朽させた供試体の一軸圧縮強さは、腐朽させていない供試体より強度が若干低いものの強度の持続性としては高い性能を示し、長期耐久性の可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竹チップ吸水材のみによる改良効果の検討では吸水材の絶乾状体から水の吸水できる限界状態を算出することができた。さらに粘土中での吸水可能な水分量の予測が可能となり、実地盤における改良のための必要吸水材添加量が算出可能であることが示された。 竹チップ混合処理土の材料特性の検討では、吸水材添加量B=30%以上になると竹チップが骨格を形成し、延性的せん断挙動はみられるもの一軸圧縮強さは低下した。また、吸水材添加量B=30%以下では竹の吸水効果並びに靱性効果を発揮し、延性的でかつ一軸圧縮強さの上か傾向が示され、竹チップの有効化が示された。 竹チップ改良土の腐朽の検討ではオオウズラタケとカワラタケの2種類の菌を用いて竹チップ改良土を強制的に腐朽させ実験を実施した。菌の腐朽状態は質量変化で管理されるが、改良土の腐朽の定義がないことから、一軸圧縮試験の実施に至るまでの時間的な制約を受けることから、今後に腐朽形態の時間的な変化を含めた検討が必要であることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2年間の研究成果を通して、研究最終年度としてのこの工法を用いた現場的施工を見据えた最終的なガイドラインができるように努める予定である。 吸水材のみの改良効果として、実地盤における改良のための必要吸水材添加量が算出可能であることが示されたことから、性質の異なる粘性土を用いた実験を行う予定である。 竹チップ混合処理土の材料特性は、適度な吸水材添加量から一軸圧縮強さの増加と延性的せん断挙動を発揮することから、様々な高含水比底泥を用いて比較し、粘土の物理特性より判断基準ができるように実験を遂行する予定である。 竹の腐朽が改良土に与える影響については、オオウズラタケとカワラタケの2種類の菌を用いて竹チップ改良土いについて強制腐朽実験を実施し、特に時間的腐朽形態を含めた検討を行う予定である。 これらを踏まえ現場的施工ガイドラインが提案ができるように計画を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
腐朽試験の延長に伴う、菌の購入予定がずれたため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
腐朽菌の購入
|
Research Products
(10 results)