2015 Fiscal Year Research-status Report
降雨の作用を受ける補強土構造物の耐震性能評価に関する研究
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26420490
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
小林 睦 豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (30390462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 補強土 / 地震 / 降雨 / 性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,降雨の作用を受けるアンカー式補強土壁の耐震性能を調べるために,地下水が高い状態にある補強土壁の地震時挙動に関する遠心力場振動台実験を実施した。裏込め地盤には豊浦砂を採用し,湿潤締固め法により相対密度が40,65%になるように模型地盤を作製した。これらの実験結果より,裏込め地盤密度が通常の施工と比較して極端に小さくても,アンカープレートの引抜きが生じずに,アンカープレートと壁面材で挟まれる補強領域が一体となって挙動することが分かった。このことから,補強土壁の耐震性が高いことが改めて確認できた。また,相対密度40%で作製した模型地盤に排水パイプをモデリングした不織布を挿入した実験ケースでは,排水効果による壁面パネル近傍の水位低下効果とこれに伴う壁面土圧の抑制を確認することができた。この場合,低下した地下水の分だけ補強領域の自重が軽くなるため,地震時の慣性力が小さくなることから,地震時の変形が小さく抑えられた。このことから,補強土壁の維持管理のための排水パイプの重要性を指摘した。 一方,補強土壁の地震時性能をさらに詳細に検討するため,橋台取付け部に採用されるような両面壁を対象とした遠心力場加振実験を行った。ここでは,道路幅員によって,アンカープレートの位置が交差したり,タイバーを緊結したりするケースを想定し,補強領域が独立する通常のタイプとの挙動の違いを検証した。実験の結果,タイバーを緊結したケースでの変形は確認できなかった。独立式では,やはりアンカープレートの引抜きが観察されず,補強領域が一体となって滑動したことが観察された。このことは,補強領域が交差する場合は変形が抑えられることを示唆するが,実験結果はその通りとなった。また,アンカープレートが交差する長さを変えてみても,地震時挙動に大きな違いは見られず,補強領域が結合するような効果を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度,計画通以上に進んだため,今年度は対策工の検証まで行うことができた。さらに,両面壁を対象にした実験では,地震時挙動を詳細に検証することができた。以上のことから,当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,降雨の作用を受ける補強土構造物の耐震性について,変形メカニズムの検証および対策工の効果について調べてきた。今後は,補強材の拘束効果に着目し,これが地震時性能に与える影響を調べていく。
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Causes of Carryover |
本年度の研究が順調に進んだため,研究補助者への謝金を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と合わせて,当初の計画通りの実験的研究を進めていく。
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Research Products
(4 results)