2014 Fiscal Year Research-status Report
浅い貯水池における密度成層の消長が流動構造と浮遊懸濁物質の挙動に与える影響の評価
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26420501
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 渉 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20253635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 誠二 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40432512)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 閉鎖性水域 / 成層 / 現地観測 / 数値モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
閉鎖性水域の水環境を良好な状態に維持・管理するには、水域に特有の物質循環過程を明らかにし、それに適応した改善策の実行が不可欠である。本研究では諫早湾干拓調整池を対象に水温と塩分、浮遊懸濁物質(SS)の連続観測を実施し、成層の消長現象の把握を行った。また、調整池内のSS等を対象にした物質予測数値モデルを構築した。 まず、現地観測から、夏季の水温は明け方から昼前にかけて表層側で高まり、その後に鉛直方向に一様化、夜間に低下する日周期変化が現れることを明らかにした。冬季には夏季と同様の日変化があるが、北部水域の計測地点では夜間に深部の水温が上層よりも高いことが観測された。こうした変化は同時計測した塩分の結果から、当水域の塩分は低濃度ではあるが、密度の鉛直分布に影響を与え、日没後の鉛直混合を弱めたためと推察された。SSに関しては風速に応じた懸濁量の時間変化が見られ、風速の速い昼間に多く、静穏状態となる深夜から明け方に減少することが示された。 つぎに、調整池内の物質予測モデルについては、水温や塩分、SSの水平並びに鉛直方向の輸送量を明らかにする必要から3次元モデルとして構築しており、今年度は夏季の水温とSSについてモデルの適用性を検討している。計算結果から、SSは風や前面潜堤等の当調整池の地形に応じた流れに影響されて空間的に大きく変化していること、湧昇流が生じる領域では表・中層の濃度が高まることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成層の形成・消滅と気象状態の関連性について、観測体制の整備と観測の実施を初期の計画のとおりに行っている。またSSの時空間変化把握のための連続観測を夏季と冬季に実施し、有用な結果を得ている。さらに、調整池を対象にした物質輸送の数値モデルの構築にも着手している。ただし、SSの植物プランクトンと洪水流との関連性に関しては、今年度には顕著なアオコの発生がなかったこと、また、洪水時の観測を実施したものの、雷雨の発生のために中止を余儀なくされており、観測結果を取得することができなかった。次回以降の研究において結果を得る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
計画のとおりに研究を進めることで初期の目的が達成されると期待される。ただし、洪水時の観測実施に関しては、安全性に留意して実施のタイミングを設定する必要がある。
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