2014 Fiscal Year Research-status Report
滞留水域のコアンダ効果を利用した新たな湧昇流発生法による水質浄化に関する研究
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26420506
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
有田 正光 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90130294)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 湧昇流 / コアンダ効果 / 壁面噴流 / 密度噴流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然エネルギーを利用した低コストの新たな湧昇流形成法の効果を検証しようとするものである.平成26年度は,先ず,実験と数値流体解析ツール「Open FOAM」を使用した数値計算によって提案する手法が期待通りに機能することを検証した.そのために斜放出壁面噴流(θo=30°),壁面噴流,自由噴流の流況の比較のための均質噴流実験と数値計算を実施した.その結果,壁面噴流,斜放出壁面噴流に比較して自由噴流は拡がり幅が大きく流速の低減が強いために目的とする湧昇流形成には不適である事が分かった.一方,壁面噴流,斜放出壁面噴流は同様に拡がり幅が小さく流速が早いが,湧昇流として使用するためには斜放出壁面噴流を使用する方がコアンダ効果による流れの安定効果が期待できるので有利である事が明らかにされた. 提案する湧昇流形成の工学的手法を現地で応用するためには無次元パラメータの導入が必要となるが,本研究では放出口における密度フルード数Fdo,長さのスケールに放出口から水表面までの距離を使用した密度フルード数FdoS,長さのスケールに放出口から密度界面までの距離を使用した密度フルード数FdoBの三種のパラメータを導入した.また,提案する手法の有効性を検証するための現地として野村ダムを選択し,再現実験を実施した.その結果,湧昇流の密度界面を貫通しての水表面への到達,水表面からの落下時の密度界面混合,下層水の連行量の推算などより,提案する手法が効果的であることが検証された.以上の検討によって提案手法の妥当性の概略は明らかになったと考える. さらに,本手法の活用法の一例として上流の小型副ダムから湖水中に設置する円筒状の湧昇流発生装置に導いて湧昇流を発生させる手法の合理性について模型実験による検討を実施し,概略の妥当性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度の研究によって研究計画通り,数値計算手法の妥当性が検証されるとともに,密度界面の形成法・下層補給連行流量の設定・計測方法などの実験技術が確立された.実験と数値計算より斜放出壁面噴流(θo=30°)によって効果的に湧昇流が形成されることが明らかになった.また,研究においては現象整理のための無次元パラメータを提案するとともに,現地を念頭に置いた密度流実験を実施して湧昇流に伴う諸現象を明らかにした.これらの検討によって提案した手法の有効性を明らかにした.さらに,僅かではあるが研究計画を超え,現地に応用するための工学的手法を提案するとともに,同手法についての基礎実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降においては平成26年度に続いて提案する手法の効果をより定量的に明らかにすることを目標とする.具体的には提案した無次元パラメータと湧昇流の強さの関係をより明らかにする.そのために定点の塩分濃度の経時変化,鉛直塩分濃度の変化などの計測結果より湧昇流効果の具体的評価法について検討・確立する.また,湧昇流による水質浄化効果の定量的評価法について検討・確立する.さらに,提案する湧昇流発生法の現地での応用法(設置法)と水質浄化効果の評価法について検討・確立した上で,現地において実用性が高い湧昇流発生法を提案する.
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Causes of Carryover |
未使用額が,15,370円となった.無理して使用せず次年度により有効に使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の未使用額は次年度に次年度配分額に合算して使用することとする.未使用額が,15,370円と多額ではないので,使用計画は変更なしとする.
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