2015 Fiscal Year Research-status Report
健康長寿社会形成のための広域地方生活圏における機能・基盤の再構築
Project/Area Number |
26420508
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 亨 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80163690)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 健康長寿社会 / 地域計画 / 都市と農村 / 居住地選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次の3つの段階から成る。①分析するデ-タベ-スを構築し、産業立地パタ-ンと施設整備パタ-ンから地方部の衰退過程を実証分析する。②都市と農村機能の同時消費による世帯・コミュニテイの生活質向上をモデル化する。③自己組織化モデルを用いて、広域生活圏を構成する都市と農村の階層原理をモデル化し、地方部を対象とした国土管理上の施策の有効性を把握する。 平成27年度の研究成果は、上記の②を発展させるとともに、③の一部を行なった。②に関しては、都市と農村機能の同時消費による世帯・コミュニテイの生活質向上モデルを完成させて、都市と農村機能の同時消費構造を把握した。③に関しては、階層原理のモデルの改良を行った。モデルの改良点は2つあった。1つは、研究の初年度では、仮想デ-タを用いて自己組織化モデルを完成させたが、27年度では、実デ-タを用いた分析を行った。他の1つは、第一層目である「世帯・コミュニティ」と第二層目である「生活圏域」という階層構造設定の妥当性を検討して、中間層の導入や階層構造の除去を試みて現状再現性の高いモデルとした。また、生活圏域を対象とした国土管理施策の有効性の検討の一部を行った。ここでは、構築した自己組織化モデルを用いて、生活施設配置とアクセシビリティを政策変数に取り上げて、生活圏の定住・交流人口の変化を把握し、施策効果とその発現速度から施策の有効性を評価した。アクセシビリティについては、本研究で重要な位置づけを占める近接性指標を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に、分析するデ-タベ-スを構築し、産業立地パタ-ンと施設整備パタ-ンから地方部の衰退過程を実証分析した。これを受けて本年度は、都市と農村機能の同時消費による世帯・コミュニテイの生活質向上をモデル化した。さらに、このモデルを用いて、広域生活圏を構成する都市と農村の階層原理をモデル化できた。 このように、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、生活圏域を対象とした国土管理施策の有効性の検討である。生活圏域を取り上げて、定住人口の定着を目指した地域づくりの視点だけでなく、「地方部の新しい価値観による市場形成」により、交流人口を獲得していくことの有効性を分析する。具体的には、観光はもとより、農場の環境を活かしたグリ-ンツ-リズムなどの施策効果(健康長寿社会にも繋がると考えている)についても、モデルでシミュレ-ションしていく。 また、研究の最終年度として3年間の研究を総括する。
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