2014 Fiscal Year Research-status Report
メタゲーム理論に基づくPFI事業における競争的対話の導入効果に関する研究
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26420513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 正光 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10402968)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公共調達 / メタゲーム理論 / 競争的対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
EUでは,2004年から特に複雑な事業を対象に公共調達における競争的対話を導入している.競争的対話が実施された事例の蓄積が進んでいる.平成26年度は,EUにおける競争的対話が実際にどのようなプロトコルで行われているのか,また適用状況に関する情報の収集・概念整理を行った.今年度は,数ある公共調達手法の中で,競争的対話の得失を明らかにするため,公共調達制度の役割,機能に関する一般的概念枠組みを提示した.その結果,競争的対話方式の最も重要な効果は,事業特性に応じた技術・契約方式を選択することにより,発注者・受注者双方にとってメリットを享受できる点にあることを指摘した.この指摘は,EUにおいて,競争的対話が特に複雑な事業に限定して適用されるという事実とも整合している.一方,公共調達制度には事業の受注者を公正に選抜する機能が要請される.競争的対話は対話プロセスに参加する業者の数を限定せざるを得ない.このとき,対話プロセス参加者の選抜ルールの公正性担保が実務的課題となることを明らかにした.EUにおいて対話プロセス参加者をどのようにして選抜しているのかについては,必ずしも明確な基準が存在していない. 平成26年度に得られた知見は,平成27年度以降に実施する競争的対話にかかる制度設計の規範的基準としての意義がある.また,本研究課題が取り組む戦略的構造を考慮した競争的対話のプロセスに対して,EUにおいても現段階において合理的概念が形成されていないことが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,公共調達制度の中で,競争的対話と他の多様な調達システムとの本質的な相違点を明らかにすることで,競争的対話にかかる制度設計の規範的基準を明らかにすることが主眼にあった.上記で記載した研究成果によって,競争的対話の制度設計方針を規定することが可能となり,本年度の研究の目的は達成していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究成果により,競争的対話の制度設計にかかる規範的基準を明らかにすることができた.平成27年度は,メタゲームモデルを構築することにより,競争的対話参加プレイヤー間の戦略的構造を明らかにする.研究遂行上,計画の変更や特筆すべき課題は特にない.
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた情報収集を実施してもらうための謝金額が想定よりも少ない金額で実施することが可能となったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度においても,追加的情報収集が必要となる.当該金額は,引き続き情報収集のための謝金として使用する予定である.
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