2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of competitive dialogue in PFI projects based on meta-game theory
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26420513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 正光 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10402968)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建設マネジメント / 公共調達 / 競争的対話 / PFI / 入札 / 契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,建設から維持管理運営までを一民間企業が一括して受注するPFI事業の入札において,競争的対話と呼ばれる仕組みを導入した際の効果に関する知見を明らかにした.競争的対話とは,発注者が競争性を維持しつつも,応札者との対話を通じて事象者を選定する方式である.平成26年度には,導入が進んでいるEUにおけるガイドラインの事例調査を実施した.そこでは,選定の大まかな流れと競争的対話の意義や目的が記載されているのみで,詳細なルールや手順に関する規定はなく,事業ごとにケースバイケースで行われていることが明らかになった.平成27年度には,公共調達ルールとして具備すべき機能的要件と,当該機能のパフォーマンス二かなる評価基準となる規範的条件を定義した.その上で,公共調達のための代替的方式との比較において,競争的対話方式が,「従来の発注者からの一方的な契約条件の提示ではなく,早期請負者参加を目的とする点が本質的特徴であることを指摘した.平成28年度(最終年度)では,水道事業のコンセッション事業における入札ルールの経済的効率性を評価するためにゲーム理論に基づくモデルを開発した.水道コンセッション事業の経済的価値は,主に水道料金及び水道の接続数(普及率)に依存する.政府が契約条件として望ましい水道料金及び接続数を設定するためには,民間事業者が有する技術に関する情報が有しておく必要がある.政府が技術に関する十分な情報を有していない場合には,競争的対話方式が適用される場合も少なくない.本研究では,技術提案型入札の下での最低単価落札方式と最大接続数落札方式という2つの落札方式の経済的帰結を理論的に分析した.その結果,最大接続数落札方式では,事業者による戦略的ホールドアップによるレントシーキングが生じる可能性がある一方,最低単価落札方式は,こうした行動を抑制できるというメリットがあることを示した.
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