2015 Fiscal Year Research-status Report
輸送手段多様化時代の貿易予測モデル開発と港湾・海運政策評価
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26420514
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (60282034)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 協力ゲーム / 空間応用一般均衡 / コンテナ貨物 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
日本・中国－アメリカ東岸間輸送を対象に，異業種間の競合と協力考慮したゲーム理論によるモデルを構築し，コンテナ貨物の経路別輸送量を推計した．その際，コンテナ貨物の時間価値を考慮した．パナマ運河拡張後のシャプレイ値および仁を様々なシナリオにおいて確認したが，概ねスエズ運河経由航路に優位性がある状況である．ただし，パナマ運河の通航料を引き下げることにより，パナマ運河のシャプレイ値及び仁が高い値を示し，パナマ運河庁，海運業者，鉄道業者間で提携が可能になり，パナマ運河がスエズ運河に対して優位性を持つことも併せて確認した．
集計ロジットモデルによる輸出入コンテナ貨物の荷主の選択行動分析を前年度に引き続き行った．荷主は輸出においては最短ではなく平均的な輸送時間を考慮していること，平均待ち時間と海上輸送日数の合計の時間を考慮していることが改めて明らかとなった．
空間応用一般均衡（SCGE）モデルでは一般的に輸送をIceberg型費用として捉えられることが多いが，本課題では地域間輸送企業の行動を定式化してモデルに組み込み，Iceberg型モデルで輸送費用の意味づけが曖昧になる欠点を補うモデルを開発した．モデルは未だプロトタイプではあるが，現況再現性や挙動の特徴を確認した上で，日中韓三カ国に対して適用できることは確認した．Iceberg型モデルと本モデルのシナリオ分析における結果の相違点を考察し，特に長距離輸送量の変化において差が大きいことが確認された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実施計画のうち，計量経済モデルの精緻化については石炭と原油の輸送を対象にモデルの検討を進めたが，精度の高いモデルは得られなかった．輸送手段・経路選択モデルについては，ロジット型の離散選択モデルを構築し，適用可能性も確認した．加えて，当初計画はしていなかったが，協力ゲームによるモデル分析により，運河運営者，海運業者，鉄道業者の協力の可能性と協力の有無が経路別貨物輸送量に及ぼす影響を確認できた．空間応用一般均衡モデルについては，プロトタイプのモデルを構築できた．
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に十分に進めることができなかった計量経済モデルの精緻化をまず進める．具体的には扱う時系列データの種類や対象期間を変えながら様々なシナリオに基づいたモデル化を行う．
さらに，空間応用一般均衡モデルの精緻化を行う．既に地域間輸送セクターの行動を組み込んだモデルを構築しているが，金額，輸送重量，輸送サービス生産量の相互の換算をモデルの中で内生的に行えるように改良を進める．
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は，購入予定としていたIHS Global Insight World Trade Serviceのデータを購入しなかったことである．現在進めているモデルの構築および精緻化においては，それ程詳細ではないデータで十分であり，現在のところ購入を必要とする状況に至っていない．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
モデルの精緻化を進めた後，今年度後半においてデータを購入し，それを用いた実証分析を行う．
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