2016 Fiscal Year Research-status Report
輸送手段多様化時代の貿易予測モデル開発と港湾・海運政策評価
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26420514
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (60282034)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多地域応用一般均衡モデル / 地域間輸送企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界に一つの独立した地域間輸送企業が存在すると仮定した多地域応用一般均衡(SCGE)モデルを構築し,シナリオ分析において構築したモデルと従来のIceberg型モデルの比較を行うことで構築したモデルの特長を確認した.地域間輸送企業の定式化では,運賃が外生的に与えられる外生モデルと内生的に変化する内生モデルの2通りを提案している. SCGEモデル構築において,従来とほぼ同様の以下の4つの仮定をおいている.①生産要素は資本と労働の2種類を考える.資本,労働は地域間,産業間で移動できないと想定する.②全ての産業の生産関数と家計の効用関数はコブダグラス型関数とする.③Iceberg型SCGEモデルでは一般企業,家計の2種類,内生モデルおよび外生モデルでは一般企業,地域間輸送企業,家計の3種類の経済主体を考える.④家計は収入の全てを消費支出に充てるものとする. その上で,地域間輸送に関して以下の仮定をおいている.1)世界の地域間輸送全てを担う企業が一つ存在する.2)輸送サービスの生産関数はコブダグラス型関数とする.3)地域間輸送企業は与えられた輸送需要を満たすように費用最小化行動を行う.4)輸送サービス生産総額は収入総額と一致する.5)財の貿易に輸送サービスを必要とする.6)内生モデルでは貿易重量に応じた地域間輸送費用が発生する. 船舶積載効率が10%向上することを想定したシナリオ分析により各モデルの比較を行った.生産物の金額あたりの重量が大きい一次製造業の生産や地域間交易額においてモデル間の差が大きい点など,モデルの特徴を反映した結果を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において中心となる多地域応用一般均衡モデルの構築はほぼ予定通り進んでいる.また,複数の輸送手段・経路の選択モデルについても構築がほぼ完了している.ただし,多地域応用一般均衡モデルのベンチマークデータを得るための計量経済モデルの構築が進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
計量経済モデルの構築を進めるとともに,多地域応用一般均衡モデルの精緻化を行う.それらを輸送手段・経路選択モデルと組み合わせることにより,各種港湾政策や海運政策の評価を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,購入予定としていたIHS Global Insight World Trade Service のデータを購入しなかったことである.これまで進めてきたモデルの構築及び精緻化においては,それ程詳細ではないデータで十分であり,現在まで購入を必要とする状況に至らなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モデルの精緻化を進めた後,平成29年度中にデータを購入し,それを用いた実証分析を行う.
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