2017 Fiscal Year Research-status Report
モーダルシフトの促進と国際海上輸送の効率化を目指したシー&レール一貫輸送の研究
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26420515
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋田 直也 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80304137)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際海上輸送 / シー&レール / モーダルシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主にシドニー大都市圏におけるシー&レール一貫輸送の事例ならびに将来計画の調査を行い、以下の知見を得た。 シドニー大都市圏におけるシー&レール一貫輸送は、ボタニー港に関連するトラックによる周辺道路の交通渋滞問題の解決策の一つとして取り組まれている。ボタニー港における取り扱いコンテナ個数は2,431,737TEU(2016/2017)で、今後、シドニー大都市圏の人口増加に伴って、ますます増加することが予想されている。このため、ボタニー港では、コンテナの内陸輸送の主な強化策として、「内陸に設置したインターモーダルターミナルを運用した貨物鉄道輸送の促進」と「トラック利用の効率化」の2つを掲げ、深刻化が懸念されている交通渋滞問題の解決を図ろうとしている。 まず、ボタニー港で取り扱われるコンテナ貨物の特徴として、輸入が輸出を大きく上回っている上、輸入コンテナ貨物の80%以上がボタニー港から40km圏内の地域を最終の着地としていることがあげられる。こうした中、貨物鉄道の輸送分担率を現在の14%から40%にまで増やすことを目標に、内陸の貨物集配拠点としてインターモーダルターミナルを設置し、これらを貨物鉄道でリンクするといった方策が試みられている。現在、6つのターミナルが運用中であり、今後、さらに3つのターミナルの設置が貨物量の増加にあわせて計画されている。また、これらすべてが、ボタニー港から50㎞の範囲内に設置されていることが特筆される。 一方、ボタニー港の各コンテナターミナルでは、貨物列車の直接乗り入れを可能としているとともに、コンテナの積み降ろし作業を容易にするため、フェンス等の囲いをなくし、荷役機械や車両がそのまま侵入できるようにしている。 さらに、旅客列車の合間を縫っての運行となる貨客共用路線では、貨物列車の運行が制限されることから、貨物鉄道専用線の延伸も計画されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年4月1日から2018年2月26日の間、神戸大学若手教員長期海外派遣制度により、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で在外研究を行う機会を得た。その間は、主にオーストラリアにおけるシー&レール一貫輸送の事例ならびに将来計画の調査を行ったが、想定以上の時間を要する結果となった。 このため、本年度予定していた提案するシー&レール一貫輸送サービスの対象となる最大貨物量の推計と当該サービスに対する荷主の利用意向に関するアンケート調査の企画・実施ができず、補助事業期間の延長申請を行うことにした。 こうしたことから、「遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に予定していたシー&レール一貫輸送サービスの対象となる最大貨物量の推計を行う。さらに並行して、当該サービスに対する荷主の利用意向に関するアンケート調査を実施する。なお、アンケート調査では、本年度のオーストラリアでの事例調査で得られた知見をもとに、インターモーダルターミナルの設置を加えたシー&レール一貫輸送サービスを提案し、その利用意向を荷主に尋ねるようにしたい。 また、これまでの研究成果をとりまとめ、国内外の学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究の進捗が遅れているため、本年度、計画していたアンケート調査が実施できなかったことと、国内外の学会等への研究成果の投稿および発表ができなかったことが主な理由となっている。 (使用計画)アンケート調査の実施費用として、人件費・謝金、印刷費、通信費を使用するとともに、国内外の学会等への研究成果の投稿および発表費用、並びに、関連研究の資料収集のための旅費として使用する。
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