2014 Fiscal Year Research-status Report
色彩によるドライバーの心理的効果を利用した地区交通安全対策に関する研究
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26420518
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
橋本 成仁 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (80291318)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 交通安全 / 自動車速度抑制 / カラー舗装 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、街路空間のカラー化を行う際に、どのような色、どのような塗り方をすれば自動車の走行速度を抑制できるかという点について検討を進めている。 研究を進めるにあたり、当初は岡山市内での複数個所において、自動車の走行速度の実測値を用いて街路空間のカラー化と自動車速度の関係について検討することを予定していたが、残念ながら実測調査が可能な空間で街路のカラー化のバリエーションが十分でなく(つまり、同じ色、同じ塗り方での整備事例が多く、研究対象として不適切)、調査方法を実測調査から仮想空間におけるカラー化に対するアンケート調査による分析を行うこととした。 調査対象地域は、愛媛県松山市久米地区の小学校2校、中学校1校にご協力いただき、保護者を対象として調査を行った。その結果、色については、黄≒ベンガラ>緑>青>非カラーの順に速度抑制効果が高くなる傾向にあることが示された。 また、着色の仕方についても検討した結果、カラー化する幅により速度抑制効果が大きく異なることが明らかとなった。また、同じ幅でカラー化するのであれば、路側帯側をカラー化するよりも、車道側をカラー化した方が速度抑制効果が高いことが明らかとなった。 なお、色、幅、位置(路側側、車道側)に関しては、幅が最も大きな影響を及ぼしており、次に、色、最後に位置の順に影響力が大きいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた、街路のカラー化が自動車の速度抑制に与える効果について、1200票以上の有効回答数を得たアンケート調査から明らかにできた。自動車の走行速度はカラー舗装以外の要素(車道幅員、沿道建物の状況、歩行者等の状況)に大きく影響を受けることがこれまでの知見から明らかになっており、それらの状況をコントロールできるアンケート調査での実施に切り替えたことにより、実測データでは困難であったと思われるカラー舗装自体の効果、特に、色、塗幅、位置(路側側、車道側)に関する分析はが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、道路のカラー化が自動車ドライバーにどのように影響するのかを把握するため、携帯型の脳波計や心拍計を用い、観察することにより、街路の色の連続的な配置に関する効果・限界を把握する。実験の特性上、携帯型の機器を使うことになるが、昨年度、医学系の専門家に相談したところ、精度に関して課題が残るという指摘をいただいており、調査方法について、現在検討を進めている。
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Causes of Carryover |
調査方法の変更により、予定していた実測調査の人件費が発生しなかった。代わりに、アンケート調査に関わる調査費用が発生したが、これについては、調査対象地域の方々のご協力を頂けたため調査費用が安価に設定できたため結果として次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度予定している調査費用として使用する予定。調査におけるサンプル数を増やすことが可能となり、より高い精度の結果を得られることが期待される。
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