2016 Fiscal Year Research-status Report
新しい重要度指標とパスセット選択法による道路網の信頼度改善の実用的近似解法の構築
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26420522
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
若林 拓 (若林拓史) 名城大学, 都市情報学部, 教授 (00135542)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交通ネットワーク信頼性 / 信頼性向上策 / 重要度評価 / 改良型クリティカリティ重要度 / 効率的計算法の開発 / 部分的パスセット / 費用便益分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:天災の多い我が国では、種々の災害を前提に対策を施した道路網の構築と維持が不可欠である。道路網の信頼性を向上させるためには、信頼性向上への寄与度の高いリンクの発見法が重要であり、重要度評価と呼ばれている。しかし、従来の重要度指標(確率重要度RI、クリティカリティ重要度CI)では、①並行する代替リンクの改善を無視する傾向があり、従来指標を実際の道路網に適用すると歪んだ結果を導くという短所および、②費用対効果を考慮できないという短所がある。本研究の目的は以下の通りである。 1)上記問題点を克服するため並列ネットワークでの公平性を考慮した新しい重要度指標(ICI)の提案と『コスト-リンク信頼度関数』との組合せを提案する。2)主要パスの利用による大規模道路網で効率的に計算できる実用的近似解法を開発する。3)道路ネットワーク規模を拡大し、新しい方法の精度および実用性の検討を行う。 研究実績の概要:(1)ブール演算アルゴリズムの構築と改善・偏微分計算過程の追加:ブール演算法(交付申請書の通り)のアルゴリズムに偏微分計算のサブルーチンを追加した。(2)平成26年度では、ブリッジネットワークでICI指標のRI指標およびCI指標に対する優位性を数値計算で明らかにした。平成27年度では、ネットワークを田の字型ネットワークへ拡大し、同時にICI指標の一般的優位性を明らかにするため、リンク信頼度の組合せを2000組の大量サンプルで与えた。結論は、すべてのケースにおいて、ICI指標が費用対効果・公平性の観点で優れており、一般的傾向として新規開発のICI指標が優れていることが明らかとなった。(3)これらの研究成果は、土木計画学研究発表会2015年春大会、同秋大会およびEWGT2015にて発表した。2016(平成28)年度は、同2016年春大会(2編)、同秋大会(2編)、EWGT2016にて発表した。2017年度は現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費研究計画調書での【何をどこまで明らかにするか】では、以下の4点を挙げている。(1) ネットワークの形状・大きさを変えてRI、CI、ICI各指標の比較検討を行う。(2) 特に、ネットワーク改良の結果のリンク間信頼度のバランスの確保について検証する。(3) ノード間信頼度改善とネットワーク改善に要した費用とのB/C分析を明らかにする。(4) 少数のパスセットで計算する計算法の効率性を検討する。 これらは、上記、研究実績の概要で述べたように、計算機プログラムの改良、ネットワーク規模の拡大、それらと研究発表計画との連携など、ほぼ計画通りに進行している。学会等での発表実績および発表計画も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
計算対象ネットワークを、科研費申請書調書のとおり、1)田の字型ネットワーク、2) Sioux Falls Network、3)現実のネットワークを対象にICI指標の有効性確認を中心に計算を推し進める。ここで、現実のネットワークを当初の高知市ネットワークから岐阜県飛騨地方のネットワークに変更する。地元自治体からの要請もあり、岐阜県では毎年のように災害が発生しているので緊急性が高いと判断した。リンク信頼度の推定法を開発を現在行っている。研究遂行上での応用事例としての位置づけは同じである。高知市ネットワークは、高潮・津波対策であるので、今後も研究を継続する。併せて、部分的パスセットを利用した効率的近似解法の開発も行う。
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議への出張を、当該国のテロ等の事由によって延期したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に執行予定。
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Research Products
(5 results)