2014 Fiscal Year Research-status Report
通水式紫外線消毒装置の持つ照射量分布の実験的検証方法の確立
Project/Area Number |
26420529
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (70272367)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 通水式紫外線消毒装置 / 照射量分布 / 生物線量計 / 複数ファージ投入 / 一斉投入と個別測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は通水式紫外線装置の照射量分布を実測確認する方法の確立を目指し,その第一段階として,複数の大腸菌ファージについて,それぞれの紫外線耐性の正確な測定を行った.そのためには実験に用いる照射紫外線の強度を正確に測定する必要があるが,化学線量計を用いることにより,より正確な測定が可能となった.結果として幅広い耐性(不活化速度定数として2 mJ/cm2から9 mJ/cm2)をもつファージを照射量分布測定用ファージとしてコレクション化することができた.そのファージコレクションから複数のファージ(MS2ファージとQβファージ)を,照射量分布が既知である照射装置に投入し,それぞれのファージにおいて予想される不活化率と実験結果が一致することを確認した.これにより本研究で提案している,複数のファージによる照射量分布の確認方法の妥当性について検証することができた. また複数のファージを紫外線照射装置へ投入する際,一斉投入して,それぞれのファージ濃度を個別に測定することが可能か検討した.結果としてMS2ファージ,ΦX174ファージ,T4ファージの組合せにおいては,3つのファージを一斉に投入したとしても,それぞれの濃度測定に適した宿主菌を選択することにより,同一照射液から個別にファージ濃度を測定することが可能であることを見出した.このことから複数ファージの不活化結果を一回の通水実験を行うだけで,把握することが可能となった.従って,本方法を適用する際の作業量が大幅に縮小することができると考えられた. 以上の研究成果を基に,本方法を新しい照射量分布の確認方法として特許出願を行っており,現在申請中となっている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施計画のうち,紫外線耐性が把握されているファージコレクションの確立は数種類において行うことができた.また宿主菌が異なるファージ株を選び,ファージが混在しても,別個に測定が可能なファージの組合せについても提案することができた.以上については計画通りに進んでいる. また照射量分布既知の照射装置を工夫することにより,本方法の妥当性を確認することができた.これは来年度の実施計画を一部,前倒しで行ったものであり,想定以上に研究が順調に進捗したことを示すものである.一方,ファージコレクションについては,更に耐性が強いファージなどを野生株から抽出することや波長依存性について計画していたが,これについては来年度への持ち越しとした.その点で計画通りには行かなかった.これらの成果を鑑みて,おおむね順調と評価した.
|
Strategy for Future Research Activity |
H26年度に作成した照射量分布既知の装置において,複数ファージの同時投入を行うことによって,それぞれ個別に不活化率を測定することで,本提案方法の妥当性を立証する. 更にそれらのファージの紫外線耐性における波長依存性について把握し,中圧UVランプへの適用についても検証していく. また実験手順の確認として,用いる大腸菌ファージの保存方法および紫外線耐性の安定性について検証し,本方法を実施する際のプロトコルを確立させたいと考えている.生物を用いた実験の多くは方法が規定されている場合が少なく,作業者や所属機関による差違が大きい.そのため基準となる方法を確立することにより,より確実で信頼性の高い照射量分布の確認方法を提案することにつながることになる.
|
Research Products
(1 results)