2014 Fiscal Year Research-status Report
排水処理における臭気物質の生成および低減と水環境中に残留する臭気
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26420536
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
浦瀬 太郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60272366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 勉 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (00252007)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下水処理水 / 臭気 / 再生利用 / トリクロロアニソール |
Outline of Annual Research Achievements |
実下水処理場の処理水中のカビ臭物質Geosmin, 2,4,6-TCAの濃度を調査したところ,調査対象の東京近郊の大規模な処理施設のすべての放流水から採水場所平均で12~44 ng/LのGeosmin,6.9~24 ng/Lの2,4,6-TCAを検出した。しかし,大学の生活系排水を処理する活性汚泥処理施設の処理水からは,塩素消毒前も塩素消毒後もこれらの物質の検出濃度は低く,これらのカビ臭物質は,生物処理を行えば必ず生じるものではないことがわかった。放流水中の2,4,6-TCA濃度の高い処理場の流入水にも2,4,6-TCAは微量しか含まれておらず,また,活性汚泥上澄水には,処理水と同じレベルで含まれていることから,処理水の塩素消毒前の生物反応タンクにおいて2,4,6-TCAが生成していると考えられた。また,2,4,6-TCA以外に2塩素化アニソールの存在を検討したところ,2,4-DCA,2,5-DCAと2,6-DCAの生成が確認されたが,2,3-DCA、3,4-DCA、3,5-DCAは検出されなかった。 次に,実験室内でのコントロールされた条件下での2,4,6-TCAの生成を検討したところ,活性汚泥を嫌気条件に暴露すると最大200 ng/LのGeosminが生成した。また,廃糖蜜と塩素を反応させたあと,微生物による反応をさせることで2,4,6-TCAが5.0 ng/L程度生成した。グルコースに塩素を反応させた後に生物反応をさせた場合やフェノールに塩素を反応させたあと同じ処理をしたサンプルではともに2,4,6-TCAの生成は認められなかった。また,活性汚泥に直接塩素を加えたサンプルにおいても2,4,6-TCAの生成が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査手法の検討(基準臭の選定など),実際の下水処理水の現場調査(機器分析,感覚検査),生成メカニズムの検討のいずれもの課題で順調に進捗している。GC-OとGC-MSとを併用した臭気物質の同定についてはまだ結果がないが,これまでの検討により2015年度に結果を出せるめどが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費交付前や2014年度の調査データの再現性を確保するための現場調査を大規模処理場,小規模浄化槽,河川について継続するとともに,いくつかの2,4,6-TCA以外の臭気物質についても調査対象に加え,調査を継続する。また,生成メカニズムについては,実験室内での純物質を初発とした塩素接触/微生物反応を継続をおこない,2,4,6-TCAの前駆物質を明らかにする。また,初年度結果を出すに至っていないGC-O分析によって,環境水に含まれるこれまで注目されていないカビ臭物質(2,4,6-TCA, ジオスミン,2-MIB以外)を同定することにチャレンジし,うまくいけば,その物質についても現場調査項目に加える。また,より実務に役に立つ研究とするため,消毒方法や排気脱臭方法の臭気物質生成への影響について調べる。また,食品工場の廃水についても事例をいくつか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2014年度は,計画していた内容のうちGC-OとGC-MSのカップリングによる下水処理水についての新規臭気物質の同定が機器の導入都合で実施できなかったが,導入された機器の本格的な稼働が2015年に予定されており,研究計画の一部を2015年に送ったため,23万円余りの繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は,2014年度に実施できなかったGC-OとGC-MSのカップリングの研究を実施し,また,当初予定の研究を進捗させるため,2014年度の残金と2015年度に新たに交付される部分を合わせた額を使用予定である。大きな備品の購入は予定しておらず,実験室での2,4,6-TCAの生成実験や分析機器にかかる消耗品,分析にかかる試薬およびガラス器具費,結果の発表および研究動向の調査のための旅費などの目的に使用し,その内訳は,当初の計画とほぼ同じものを予定している。
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