2015 Fiscal Year Research-status Report
排水処理における臭気物質の生成および低減と水環境中に残留する臭気
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26420536
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
浦瀬 太郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60272366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 勉 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (00252007)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下水処理水 / 臭気 / 再生利用 / トリクロロアニソール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,下水処理水に含まれる臭気成分の確認と各種処理における低減効果について調べた。まず,GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)とGC-O(におい嗅ぎガスクロマトグラフ)とを組み合わせた装置の調整を行い,下水処理水に含まれる臭気成分をマイクロ固相抽出法によって装置に導入した。その結果,敏感な被験者がにおい嗅ぎをおこなった場合,約10の異なるリテンションタイムの位置に臭気成分が存在することがわかり,そのうちのひとつが2,4,6-TCAであることが確かめられた。また,比較的,鈍感な被験者がにおい嗅ぎをした場合でも,2,4,6-TCAは明確に認識できる場合が多く,2,4,6-TCAが下水処理水の臭気に大きな寄与をしているという平成26年度までの仮定の信頼性が向上した。また,下水処理水の高度処理法としてよく用いられるオゾン処理や活性炭処理による2,4,6-TCAの除去性を調べた。オゾン処理においては,純水溶液環境でも下水処理水環境でも,2,4,6-TCAはよく除去され,代表的カビ臭物質であるGeosminが純水でほとんど反応せず下水処理水系で反応しやすいのとは対照的であった。また,活性炭への吸着はGeosminよりも2,4,6-TCAの方が吸着しやすいことがわかった。また,オゾン処理でも活性炭処理でも,臭気の除去と2,4,6-TCAの除去はほぼ並行して生じた。これまでの下水処理水や河川での実地調査結果と合わせて,本年度の検討により,下水処理水の臭気成分としての2,4,6-TCAの重要性が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度までの下水処理水サンプルの調査,実験室での生成メカニズムの検討に加えて,平成27年度はGC-O(におい嗅ぎガスクロマトグラフ)の本格稼働やオゾン処理,活性炭処理での臭気物質の挙動の検討により研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,わが国ではほとんど例がないGC-Oの環境分野への本格適用によって,多成分系での臭気の扱いの方法論を完成させ,結果を積みかさねることにより,各種廃水や各種環境水の臭気を構成する成分を明らかにすると同時に,生成メカニズム,除去・処理技術(オゾン,活性炭など)の検討を平成28年度に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は,第50回日本水環境学会(徳島県徳島市)での学会発表をおこなったが,他の研究課題の発表もあり,他経費から旅費を支出したため,当該科研費から旅費を使用しなかった。そのため,旅費計上分を中心に繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,平成27年度の繰り越し分と合わせ,課題の最終年度であることもあり,頻繁な対外発表を予定しており,そのための旅費が必要である。また,予定通りの研究を実施するための物品費が必要であるため,全額使用する予定である。
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Research Products
(3 results)