2014 Fiscal Year Research-status Report
明度差によるコンクリートのひび割れ本数簡易評価・劣化予測手法の開発
Project/Area Number |
26420541
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 拓哉 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30360465)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 染色浸透探傷剤 / ひび割れ / コンクリート / ASR / 凍害 / 実構造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コンクリートの凍害をはじめとするひび割れを伴う劣化現象を対象として、金属用染色浸透探傷剤等の染色剤をひび割れに浸透させ、染色前との明度差を測色計によって測定することによって、ひび割れ本数の推定を行い、コンクリートの劣化状況の把握とともに、今後の劣化進行の予測を行う技術を開発することを目的としている。 初年度である平成26年度は、本手法の適用範囲の検討として、染色面積(コア径)および含水率の影響の検討を行う予定としていたが、凍害、ASRを受けた実構造物からのコア供試体を入手できたため、平成27年度に行う予定としていた実構造物への適用時の留意事項の検討を前倒しで行った。その結果として、必要最低限の染色面積(1.5cm幅)で測定可能であること、染色浸透探傷剤を塗布したコンクリートコア表面の明度差は、ひび割れ等が観察された部分では明度差が大きくなることが確認され、実構造物においても劣化状況を把握可能であることが示唆された。ただし、染色前のコンクリートの表面色の影響や、探傷剤の定着がコア供試体で異なる場合があり、今後の検討が必要と考えられる。また、ひび割れ本数と物性との関係において、吸水試験および超音波伝播速度による弾性係数評価等を行い、明度(ひび割れ本数)とそれらの関係を検討した。その結果、劣化がみられたコンクリートは、既往の研究による明度と相対動弾性係数の関係に近い値が得られ、既往の実験式によって評価できる可能性が示された。しかし、本手法とコンクリートの劣化状況と対応しない場合もみられた。本年度の結果をふまえ、含水率やコンクリート表面色の影響等について、次年度以降に検討を行う予定としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画では、実験室における適用範囲の検討を行う予定としていたが、初年度において劣化したコンクリート系構造物のコア供試体が入手できたため、平成27年度の予定を繰り上げ、先に実構造物への適用について検討を行った。想定していた以上に表面色の影響を受けることや、鉄筋が入るなどのコア供試体特有の問題があげられ、次年度以降の実験室実験で考慮すべき影響要因の絞り込みを行うことができた。当初予定の変更はあったが、想定していなかった点を明らかにすることが出来、今後の研究の進捗には有用であったと考えられる。本研究の目的にむけ、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
劣化した実構造物の供試体が得られたことから、実構造物への適用性という観点では本年度の研究で大きな進展があり、次年度以降はこれをふまえてさらに検討を継続する予定である。特にコンクリートの含水率の影響や染色面積の影響とともに、本年度の研究で影響が明らかとなったコンクリートの表面色、コア供試体の表面状態等について検討を行い、適用範囲や試験方法の詳細を明らかとする予定である。また、ひび割れ本数と二酸化炭素や塩化物イオン等の物質移動との関係や力学特性との関係についても継続的に検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
成果発表(論文登載料等)に用いる予定であり、新年度に支払を行うため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文登載料等に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)