2015 Fiscal Year Research-status Report
接合部降伏するPRC造およびPC造柱梁接合部の履歴性状
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26420547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 文雄 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50361522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プレストレストコンクリート / 外部柱梁接合部 / 接合部降伏 / 柱梁強度比 / 定着位置 / 終局モーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート造(RC)柱梁接合部において明らかになった柱梁接合部内での鋼材の降伏に伴う接合部破壊が生じる場合について,プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)造柱梁接合部やプレストレストコンクリート(PC)柱梁接合部においても同様の破壊が生じることが明らかになっており,性能設計においては柱梁接合部についても作用する力(モーメント)と変形(回転角)の関係を明らかにする必要がある。この柱梁接合部の復元力特性に及ぼすPC鋼材の定着位置の影響を明らかにするため, PC鋼材の定着位置を柱梁接合部コア内としたPC外部柱梁接合部部分架構試験体の水平加力実験を行った。また,梁単体での性能を確認するため,柱を剛強とした同断面の梁のみの試験体の加力もあわせて行った。 昨年度水平加力実験を実施した基準試験体との比較も行い以下の知見が得られた。(1) 柱と梁の断面が同一であってもPC鋼棒定着位置が破壊性状に影響を及ぼし,外定着の場合には梁曲げ破壊,内定着の場合には柱梁接合部の破壊となった。(2)柱梁接合部で破壊した内定着の試験体では,外定着とした試験体に対して最大耐力は10%程度小さくなった。(3)柱梁接合部の破壊となった内定着試験体では除荷時の残留変形が外定着試験体より大きくなった。(4)内定着試験体では柱梁接合部の損傷と変形により履歴面積がやや大きくなった。 また,RC造柱梁接合部の終局時のモーメントを算定する方法をPC柱梁接合部に適用し実験結果との比較を行った。梁の初期プレストレスを軸力として評価し,そこからの鋼材の応力の増分をRC造における鉄筋の応力と同様に扱うことで,RC造柱梁接合部の終局モーメント算定法はPC柱梁接合部に適用可能であり,計算値と実験値の比は1.01~1.02となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外部柱梁接合部の構造性能について柱と梁の強度比以外では最も影響をが大きいと考えられる梁のPC鋼材の定着位置の影響について,水平加力実験により把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)RC造における力学モデルの拡張によりPRC造柱梁接合部の変形機構のモデルを用い,履歴曲線上の特性点の推定手法の確立と等価粘性減衰定数の定式化を試みる。 (2)実験因子以外の設計因子の影響を把握するためのパラマトリックスタディを行い,PC・PRC造柱梁接合部の耐震性能に及ぼす主要な設計因子の影響を解析的にその影響を確認する。本研究で検討するPC柱梁接合部の力学モデルに基づく検討を行うとともに,RC造の柱梁接合部の挙動を一軸ばねのみでモデル化したマクロエレメントをプレストレスを導入したPC造,PRC造にも適用できるように拡張して行うことも試みる。
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Causes of Carryover |
試験体製作費の調整によりわずかに残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の解析作業に対する謝金,研究発表旅費等と合わせて使用する予定である。
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