2015 Fiscal Year Research-status Report
促進中性化試験による混和材混入コンクリートの中性化抵抗性評価の妥当性に関する研究
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26420555
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大谷 俊浩 大分大学, 工学部, 准教授 (00315318)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンクリート / 中性化 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 養生 |
Outline of Annual Research Achievements |
石炭火力発電所で発生するフライアッシュや、製鉄所で発生する高炉スラグ微粉末は、コンクリート用混和材としてセメントの代替材料として利用されている。コンクリートの中性化は、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を決める主要因の一つである。コンクリートの中性化抵抗性は、一般に材齢28日間養生したコンクリートに対する促進中性化試験によって評価される。しかしながら、これら混和材の反応は普通ポルトランドセメントに比べてゆっくりとしたものであり、上記の促進中性化試験では、これらの反応が十分に行われていない状態での評価となっている。 そこで、本研究ではこれら混和材を用いたコンクリートの中性化抵抗性を適切に評価するために、養生期間および方法を変化させて促進中性化試験の妥当性の検証を行うこととした。平成26年度は、フライアッシュを用い、養生期間および養生方法を変えた供試体に対して、促進中性化試験を実施するとともに屋外自然曝露試験も同時に開始した。その結果、フライアッシュを混和したコンクリートにおいて、乾湿繰返しおよび40℃気中養生を行った場合、それらの養生による強度低下に応じて中性化速度係数が増加したが、養生期間の違いが中性化抵抗性に及ぼす影響は小さいことを明らかにした。平成27年度は、フライアッシュを用いたコンクリートの養生を1年間行った供試体の促進中性化試験を行うとともに、高炉スラグ微粉末に対して同様の実験を実施した。得られた養生期間28日までの結果で比較した結果、混和材の種類に関わらず、各養生期間ごとに中性化速度係数と圧縮強度の関係は一つの直線でほぼ表わすことができたことから、混和材コンクリートは基準コンクリートと同等の強度を確保することで同等の中性化抵抗性を有することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、予定していた高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートの実験をほぼ予定通り実施することができており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、高炉スラグを混和したコンクリートの長期養生を行った供試体による促進中性化試験を実施するとともに、細孔組織との関係について詳細に検討していく予定である。また、屋外暴露の結果とも比較を行いながら、混和材コンクリートの中性化抵抗性および適した評価試験方法について検討していく予定である。また、養生期間が長くなるほど、細孔組織は緻密化しているものの中性化速度係数に大きな変化は見られなかったことから、各混和材の反応の状況ならびに促進中性化試験中の細孔組織の変化についても検討が必要になると考えられ、ペーストによる反応率試験および中性化前後の細孔組織の測定を行う予定である。
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