2015 Fiscal Year Research-status Report
小舞土壁の構造特性向上のための下地の仕様、壁土材料および施工方法に関する研究
Project/Area Number |
26420565
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
輿石 直幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00257213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 建築工法 / 小舞壁 / 左官材料 / 壁土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、土壁の構造特性を向上する小舞下地の仕様、壁土材料の調合および施工方法を明らかにする。本年度は、下記の①および②を行った。 ① 塗付け方法が小舞土壁の力学特性に及ぼす影響 昨年度、多数の要因について検討を行ったが、塗付け方法に関する検討が不十分であった。そこで、300mm角の小型の要素試験体の対角を加力するせん断実験を行った。要素試験体は、木製加力フレームの内側に小舞下地、荒壁層および中塗層を施したものである。壁土の粒度、荒壁土を最初に塗り付ける側(横竹側、縦竹側)、うら返し塗りを行う際のおもて塗り層の乾燥状態、うら返し塗り土の調合などの異なる試験体を作製した。加力中に、土壁層内部のはく離状況を把握するため、超音波伝播時間の測定を行った。各試験体の36箇所に、土壁層の両側から、荒壁層に到達する鋲、および中塗層に留まる鋲の2 種類を埋め込み、各点の超音波伝搬時間を測定することで、荒壁層の表裏のはく離状況、および荒壁層と中塗層の層間はく離状況を把握した。実験の結果、塗付け方法によって荒壁層の表裏におけるはく離状況が大きく異なり、荷重-変形関係に対してはく離状況が影響を及ぼすことが明らかになった。 ② 次年度の検証実験に向けた準備 昨年度および本年度行った要素実験の結果を、次年度は実大断面寸法の壁試験体の水平加力実験を行って検証する。これに先立ち、各地の左官職人へのヒアリングを行い、検証にふさわしい仕様の選定を行った。一部の試験体は作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度検討した多数の要因のうち、塗付け方法に関する要因について追加の検討が必要であったため。一方で、来年度行う予定の水平加力実験の準備も並行して進めたため、大幅な遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度および今年度行った要素実験の結果をもとに、土壁の構造特性に影響を及ぼす重要な因子を絞り込み、実大断面寸法の壁試験体を用いた水平加力実験を行う。荷重-変形関係および破壊性状を分析し、要素実験で明らかとなった因子の影響を検証する。また、検証実験の結果を踏まえて、土壁の構造特性を向上する調合手法を整理する。
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Causes of Carryover |
試験体作製に研究室所有の材料を用いることができた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度よりも大型の試験体を作製するため、昨年度と比べると多額が必要となる
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Research Products
(4 results)