2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロカプセル技術を使った建築仕上げ材の汚損防止メカニズムの解明
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26420567
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
渡辺 健治 中部大学, 工学部, 教授 (40319231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 石材 / 汚損 / 撥水 |
Outline of Annual Research Achievements |
予備的検討の段階では、シリコンを主成分とした撥水剤の調合要因について検討してきた。ただし、単に調合を決めればよいのではなく、その塗布方法やオープンタイムなど、塗布剤そのものの性能以外にも、汚損防止性能に及ぼす周辺因子の影響も無視できないことが分かっていた。ただし、これら全てを考慮すると、本来の目的であるマイクロカプセル化に関する検討があまりに短くなることから、当初予定していた計画を少し前倒しとすることとし、マイクロカプセル化を同時進行させながら検討することにした。 本年度の研究では、本来平成27年度から着手予定であったフッ素系の撥水材について、マイクロカプセル化を視野に検討することにした。フッ素系の材料は2種類を選定した。一つは無機系のものとし、もう一つは、高分子系のものとした。いずれも水に対して不溶性あるいは難溶性の素材で比重差から分離が激しい傾向が認められた。そこで、界面活性剤を用いてカプセルが均質に液相内に分散するよう工夫することにした。界面活性剤を幾つか用意し、シリコン系のベースに対して、マイクロカプセルを均質に混合するための妥当な範囲を実験的に検討するとともに、こうして出来上がった撥水材がどの程度の汚損防止性能を有するのかを実験的に検討した。 実験の結果、無機系の材料の場合は、カプセルとして分散させて内在させることが有機系に比べて難しく、また、撥水能力もそれほど高いレベルにまでは至らないことが分かった。しかしながら、有機系に比べるとハンドリングは容易であり、建築工事・石工事の施工の程度から考えると、もう少し工夫することで実用レベルに近づけるのではないかと考えられた。一方、高分子材料の場合は高い性能が得られる組み合わせもあるものの、併用する界面活性剤の種類や温度などの影響を受けやすく、塗布条件によっては撥水能力が極端に低下する傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的検討の段階で使用してきたシリコン系に加え、今年度実施したフッ素系を併用する手法として界面活性剤を用いることは、有効な手法であることが分かった。ただし使用する素材が増えるほどに、ベストミックスのバランスする地点を求めることが難しくなり、実験により検討せねばならない作業量が増えている。十分に実験速度を上げるためには、ある程度の切捨てをどこかのタイミングで決断する必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところはいずれも室内実験での促進試験結果で評価している。フッ素系の耐久性が高いことは一般的に知られてはいるものの、カプセル化させたことで、どの程度の耐久性が得られているのかは定かではない。室内実験と平行して屋外での暴露実験も行い、具体的な耐久性の評価も行う必要があると考えている。また、高分子系はとくに界面活性剤の種類の影響を受けやすいので、もう少しハンドリングが容易となるような新しい界面活性剤を見つける必要がある。この相性を見つけるためには、もう少し室内実験で基礎的な実験を続ける必要がある。
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