2015 Fiscal Year Research-status Report
損傷に関わる視覚情報に基づいた鋼部材の簡易損傷評価法
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26420569
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉敷 祥一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (00447525)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 防災工学 / 鋼構造建築 / 鋼部材 / 損傷評価 / 被災度区分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、鋼部材の構造実験を行い、被災地にて観察される損傷状況を再現するとともに、損傷にかかわる情報を数値化することである。例えばさび止め塗装の剥離についてはデジタルカメラによる画像データを用いて塗装が剥離した面積と長さを得ることにより、観察された情報の数値化を行う。また、局部座屈などの形状変化に対しては画像解析を用いた座標抽出などを駆使して、座屈変形の半波長、振幅を得る。一方、構造実験では部材の履歴曲線において耐力劣化や累積塑性変形量といった具体的な部材損傷が得られるため、これを数値化した損傷にかかわる情報と関係づけることにより、損傷にかかわる情報と具体的な部材損傷の関係を得る。 本年度は、局部座屈を伴う角形鋼管柱、H形鋼柱を対象とした構造実験を引き続き実施した。実験パラメータには部材断面、軸力比を採用した。昨年度の実験を含めたデータ分析より、局部座屈変形の進行を表現する力学モデルを構築し、残留局部座屈変形と耐力劣化を関係づけることに成功した。したがって、耐力劣化域を含めた部材の復元力特性モデルを利用することにより、断面(幅厚比)、軸力比に応じた柱材の損傷度区分を提示できる可能性がある。 また、ブレース材についても背合わせ2丁使い形式の山形鋼を対象とした追加実験を行った。実験パラメータには部材断面、つづりボルト位置、載荷振幅を採用した。これまでに検討してきた単一形式の山形鋼に比べると破断までの繰り返し回数が著しく低いこと、また、累積損傷にかかわる局部座屈変形がより明瞭に現れることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果として、局部座屈変形の進行を表現する力学モデルを構築し、残留局部座屈変形と耐力劣化を関係づけることに成功した。また、山形鋼ブレースについては、形式の異なる場合の実験結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のまとめとして、鋼柱材とブレース材に関する損傷度区分の判定基準を提示することを目標とする。具体的には、鋼柱材については、既往の研究を援用して、耐力劣化域を含めた部材の復元力特性モデルを構築し、断面(幅厚比)、軸力比に応じた柱材の損傷度区分を提示する。また、山形鋼ブレースについては、断面形式(単一、背合わせ2丁使い)ごとに最大変形に対応したブレースの損傷度区分を提示する。
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