2015 Fiscal Year Research-status Report
都市環境の高精度解析のための安定度を考慮した速度・スカラーの模擬乱流変動の生成
Project/Area Number |
26420578
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大風 翼 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 准教授 (40709739)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ラージ・エディ・シミュレーション / 大気安定度 / 都市風環境 / 都市温熱環境 / 流入変動風 / 乱れの積分時間スケール / 乱れの積分長さスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
1)平成26年度に実施した東京工芸大学で実施した風洞実験データを用いて、十分に発達した平板境界層での風速に関する乱流統計量を算出、分析を行った。次に、実験で得た時間スケール、長さスケールを基準にして、これを様々変化させ、変動風データを生成し、これらを流入条件としたLES解析を実施し、積分時間スケール、長さスケールの与え方により再現される流れ場の特徴の分析を行った。 2)続いて、風上側床面からパッシブスカラーを仮定したエチレンを発生させた風洞実験を実施した。ここで得たパッシブスカラーに関する乱流統計量及び風速に関する乱流統計量を用いて、平成26年度に開発した手法を用いて、スカラー変動を含んだ流入変動風を生成した。この速度変動、スカラー変動を含む流入変動風を用いて、LES解析を実施し、スカラー変動に関する乱れの時間スケール、長さスケールが再現されるスカラー場に与える影響を分析した。 3)平成28年1月から3月にかけて、日本工業大学にある屋外都市モデル(COSMO)において野外観測を行い、風洞実験よりもレイノルズ数が大きく、気性的擾乱の影響もある流れ場で、超音波風速計を用い、諸量の平均値、乱流統計量、相関量を取得した。測定高度は、建物高さの2倍、2.5倍、3倍の3高度とした。必要に応じて、今年度の追加実験も検討している。 4)さらに、宮城県南部の平原を対象に地上10m及び5mの高さで、超音波風速計を用い、乱流統計量の取得のための野外観測も追加で実施できた。風速の主流方向の変動成分について積分長さスケールを算出し、日本建築学会荷重指針に示された値と比較したところ、観測の中央値が、荷重指針の推定式から得られる値とよく一致していた。ここで得た乱れの積分時間スケールを大気安定度毎に分類し、大気安定度と乱れの積分時間スケール、時間スケールの関係について分析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成27年度までに、流入変動風生成の理論構築、プログラムのコーディングを終え、野外観測を実施し、乱流統計量を取得している。平成28年度は、平成27年度に実施した野外観測を対象に、変動風データを生成し、LES解析を実施し、本研究の有用性を示す予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)平成28年度は、まず、平成27年度に実施した野外観測結果を、日中(不安定成層形成時)や夜間(安定成層形成時)等に分類する。各々の条件で(1)の手法をより温度変動を考慮した変動風データを生成し、COSMOを対象としたLES解析を行う。実験結果との比較から、本研究で提案した変動風生成手法の都市スケールの高レイノルズ数流れにおける有用性を示す。 2)本研究で開発した温度を考慮した変動風生成のプログラムを汎用流体解析ソフトのサブルーチンプログラムとして公開するための準備をすすめる。汎用流体解析ソフトの中で、オープンソースコードとして、広く普及しているOpenFOAMへの組み込みを現時点では想定している。
|
Causes of Carryover |
日本工業大学のCOSMOサイトで野外観測を実施中、2016年1月の関東地方の降雪により一部のデータに欠測が生じた。このため、観測終了時期を遅らせ、データの収録にあたった。そのため、2015年度内に予定していたデータ処理の一部が終わらなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
観測データ処理のための補助者への謝金等にあてる。
|