2015 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中死亡に関連する住環境要因のインパクト評価と改善策の提案
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26420579
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉野 博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30092373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
小林 光 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90709734)
後藤 伴延 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20386907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳卒中死亡 / 高齢者 / 住環境 / 室内温熱環境 / 寒冷地 / フィールド調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に,申請者らが30年前に調査地域とした山形県朝日町,旧羽黒町,旧八幡町を対象に,役場の協力を得ながら調査フィールドを確保し,住環境と脳卒中死亡率との関連性に関する疫学調査を実施した。本年度は調査データを分析し,以下に示す知見を得た。 (1)脳卒中死亡率が高い地域の住環境の特徴に関する統計分析:住環境要因及び被験者の属性・生活習慣が脳卒中の発症に及ぼす影響を検討するため,統計分析を行った。本研究では,調査地域のうち脳卒中の標準化死亡比が全国平均より高い「旧八幡町」,全国平均より低い「朝日町」を従属変数に投入し,各要因を説明変数としてロジスティック回帰分析を行い調整オッズ比により,脳卒中死亡率の高い地域の特徴を分析した。その結果,その結果,浴槽の種類が和式に該当するタイプであることや居間の隙間風を感じる等の住宅の気密性の低さが特徴であることがわかった。 (2)冬季における室内温度の実態と温熱環境の評価: 冬期の1週間に訪問調査を実施し,全地域にて合計55世帯を対象として,冬期の温熱環境と高齢者の血圧ならびに活動量を計測した。その結果,調査地域は温熱環境のグレードが低い住宅が多く30年前の調査と大差がないこと,温熱環境のグレードが低い住宅では暖房時の室内温度のばらつきが大きく,高齢者の血圧が変動しやすいことを確認した。 (3)室内温度と血圧との関連性の分析:山形県郡部の高齢者を対象とした室内温度と血圧の長期測定を継続し,服薬なし群では居間温度が15℃を下回ると収縮期血圧が上昇する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳卒中死亡と住環境との関連性を評価するためのフィールド調査を終え,分析が順調に進み意義ある知見が得られている。また,防除策の検討のための調査を企画し,被験者を確保することができたため,次年度の研究活動として継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
住環境の改善のための防除策を検討するにあたり,開口部への内窓設置の効果検証を行う。既に,被験者が確保されているため,年度初めに速やかに実施する。最終的には,昨年度までに得られた知見と合わせて,脳卒中死亡の低減に向けた防除策を提示する。
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Causes of Carryover |
住環境の改善のための内窓設置による環境改善効果を検証するための調査を次年度に引き継いだことにより,調査費用を確保する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
内窓設置による環境改善効果を検証するためのフィールド調査を計画している。そのための調査旅費,検証測定に係る消耗品費のほか,研究成果発表のための旅費(海外含む)が主な使途となる。
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